【1月15日(火)八重山日報 掲載「乱れを正し、新たな繁栄に向かう年に」】
八重山日報さんのご了承を得、転載いたします。
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「乱れを正し、新たな繁栄に向かう年に」
新しい年を迎えました。
平成31年は平成最後の年。5月1日には皇太子殿下が即位され、新しい御代が始まります。
今年の干支(えと)は、「己亥(つちのとい)」。「己」という字は象形文字で、糸が絡まないように棒に巻きつけて整理している様を表しています。しかも「己」は「おのれ」を意味する言葉でもあります。つまり、自分自身の内側(自分の家、自分の会社、自分の地域、そして自分の国)から、乱れを正し、整えることを意味しています。
また「亥」は、種の中で芽が育ってきている状態の象形文字で、木偏をつければ「核」となるように、内部にエネルギーが溜まっている状態を意味します。つまり「己亥」の年は、これまでに生じてきた乱れを正し、改めて正しい理念に則ってエネルギーを使えば新たな発展となり、そうでなければ厳しい時代が待っているという分岐点の年と言えます。
さて世界を見渡せば、去年から米中対立が表面化しています。両国の覇権争いは、今後、紆余(うよ)曲折はありましょうが、全世界を巻き込んでさらに本格化していくと思います。そのなかでわが国は日米同盟を基軸としながらも、同時に米中対立がふとしたきっかけで大きな紛争を引き起こさぬよう、防衛努力を積み重ねて、抑止力を高めておく必要があります。東アジアの軍事バランスが大きく崩れてしまったら、私たちの願いとはうらはらに軍事衝突が起こりやすくなり、最悪の事態を招きかねません。私も防衛大臣政務官として、身を引き締めて職責を果たしてまいります。
またわが国としては、米中対立のその先のことも考えておくべきでしょう。これまで中国が世界経済のけん引車になっていましたが、その中国経済が中期的に落ち込んでいった場合、新たなけん引車は東南アジアや南アジアに移っていくことでしょう。いまでは中国企業も、中国国内での人件費高騰もあって、積極的に東南アジアに打って出ています。
しかし東南アジアや南アジアの国々は、中国やアメリカを完全に信頼しているわけではありません。むしろ、日本に対して高い信頼を寄せてくれている国々が数多くある地域です。わが国としては、東南アジアや南アジアにおいて、米中とは違ったわが国の特質を生かした形でリーダーシップをとって、新たな世界の繁栄の受け皿を築いていく責任があります。
たとえば、アメリカが進めてきたマネーゲーム的な資本主義ではなくて、日本が長い歴史の中で培ってきた「共存共栄の資本主義」を広めていく。近代化と伝統の共存、宗教と宗教の融和、民族と民族の協力、自然と人間の調和、そういった「和」を重んじる「和の国・日本」の生き方・考え方に基いた、新たな繁栄のプログラムをこの地域に大いに広めていく。そういう役割を、日本は担うべきでしょう。
そして、東南アジアや南アジアが新たな世界の繁栄の受け皿となるとき、地理的に見て沖縄は、それらの地域と共に発展していける可能性に満ちています。そのような大きな視点も忘れず、沖縄の歴史的な役割を考える1年にしていきたいものです。