私は、今月1日から3日の間、南アフリカのヨハネスブルグで開かれた英連邦(コモンウェルス)国会議員連盟の大会に、日本から初めてオブザーバーとして参加してきました。
英連邦とは、かつての大英帝国時代の版図にあった54ヶ国が参加している、いわば「英国ファミリー国」による国際ネットワークで、政府や国会議員レベルだけでなく、税理士や弁護士、大学や学生など様々なレベルのネットワークが存在し、私はその中の国会議員の集まりに招待されたのです。
実は私は、「日本を英連邦会議のオブザーバーとして加えるべき」と以前から主張し、英国側で思いを同じくするデイビッド・ハウエル卿(貴族院議員)と交渉してきました。その結果当時杉並区長だった私は、4年前に開かれた英連邦の地方政府のリーダー会議に招待されたのですが、ちょうどそのときに新型インフルエンザが日本で流行し始めたため、杉並区を離れることができず出席できなかったという経緯がありました。しかし今回やっと思いの一端がかなったのです。
■英連邦議会協会 メンバー国地図(マーカーで記されている箇所・現在54ヶ国)【PDF 0.6MB】
では、なぜ私は「日本が英連邦に参加すべき」と考えたのか。
その理由は、
第一に、これからの世界は米国の一極支配ではなく、必ず中国、ロシア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、そして日本などと多極化していく。わが国にとっては米国との関係は最も大事であることは変わらないだろうが、今後は日米同盟を深化させていくためにも、自由や民主主義、人権尊重や法の支配などの価値観を共有する他国との同盟関係も強化していく必要がある。54ヶ国をネットワークしている英連邦は、まさにうってつけの存在だ。
第二に、何よりも日本と大英帝国は、1902年に日英同盟をむすんで協力してきた貴重な歴史的な経験がある。当時の日本にとって初めての同盟関係であると同時に、「名誉ある孤立」を保ってきた英国にとっても初めての同盟で、1923年に4か国条約で廃止されるまで本当にうまくいっていた。だから大英帝国時代の遺産である英連邦に日本が参加することは突飛なことではない。またオーストラリアなど英連邦のいくつかの国々では、第二次大戦で日本と闘った不幸な記憶が強調されやすいが、過去に大英帝国と日本とは蜜月の時があったという記憶を呼び起こすことは、今後日本が孤立しないためにも大事である。
第三に、英連邦にはG8やG20といった先進国グループだけでなく、アフリカやアジアのこれから発展していく国々が多く加わっており、それらの国々にとって近代化と伝統文化の融合をうまく果たして発展してきた日本の経験が参考になるし、また日本にとっても、特にアフリカ等でしのぎを削っている中国との競争を視野にいれると、英連邦に参加することは魅力だ。
これらが私の考えた理由の柱です。
さて私の今回の英連邦国会議員連盟へのオブザーバー参加で、来年以降の日本の国会議員団のオブザーバー参加の道筋が開けたという感触を得ることができたので、速やかに国会の中に「日本・英連邦友好議員連盟(仮称)」のような組織をつくり、来年以降は超党派で参加できるようにしていきたいと思います。
さらに、本当は日本政府そのものが英連邦会議に参加することができればいいと思います。実はその可能性も今回確認してきましたが、可能性はありそうです。もしそうなれば、国会議員の集まりだけでなく、様々なレベルのネットワークに日本が加われることになり、まさに新しい「日英同盟」となっていくでしょう。是非安倍政権で検討してほしいと思います。