衆議院予算委員会 平成24年度補正予算会議 山田宏の質疑応答全文
○山田(宏)委員
日本維新の会の山田宏でございます。
きょうは、日本維新の会、私も含めて六名のメンバーが質問に立たせていただきまして、そのうち五名が首長経験者であります。私も、国会に戻ってきまして、十七年ぶりということで、かつての同僚に会うと随分風貌が変わったねというふうに、苦労の程度がわかるんですけれども、その期間、十一年間は杉並区の区長として仕事をさせていただきました。その経験も踏まえて、きょうは、最後のバッターでございますので、率直に総理にいろいろとお伺いしたいと思っております。
私は、まず安倍総理に、今回重責を担われたこと、心からお祝いと、また敬意を表したいと思っております。多くの点で安倍総理とは価値観を同じくするものでございまして、党は違っていても、我々ぜひ共通の点については思い切って応援をしていきますので、一番大事なことは、やはりトップの決断です。いっぱい反対があっても、やはり決断すべきときに、タイミングのいいときにきちっと決断をして、批判はあえて受けていくということで物事は前進するということを私たち首長は経験してまいりました。ぜひ、そういった総理として大仕事をなし遂げていただきたいと心から期待をいたします。
ちょっとその前に、今回いろいろと我が党の議員が御質問させていただきまして、小さい話なんですが、大事な話をTPPの前に申し上げたいと思っています。
今回の補正予算、いろいろな理由でこれぐらいの時期になりました。そしてまた、十三兆円、実質十兆円の大きな、史上二番目の補正予算ということになりました。地方から見ますと、年度内にこれを消化するというのは、とてもじゃないけれども無理な話です。
そうすると何が起きるかというと、このさまざまな地方に配分された事業に対して、各地方自治体は、これは予算として計上し受け取ったけれども、しかし今年度中には消化ができないということで、繰越明許ということをやらなきゃいけないわけです。そのために、国の予算ですから、繰り越しの理由を各出先機関に、さっき鈴木望議員がいろいろと実体験に沿ってお話を申し上げましたけれども、いろいろな省庁の出先機関に繰り越しの理由を提出しなきゃいけないんですね。これが大変なんですよ。もう本当に細かいものを全部、数人で行って、なぜ繰り越すのかと。自治体のせいじゃないですよね。そうでないのに、自治体が理由をつけてこれを提出するという大作業が来るんです。
こんな時間の無駄、こんなに人手の無駄、こういったものは、国の方で、そういったものはもう出さなくてよろしいというふうにしていただけませんか。どうでしょう。
○新藤国務大臣
よい御指摘だと思うんです。
その上で、まず大切なことは、ですから、補正予算の早期成立、これがまず第一なんです。それから続いて、早期執行、これが極めて重要です。
これは何が起きるかというと、通常、国が交付金を決めます。しかし、自治体は区長さんだったり市長さんがいらっしゃるから、自治体は、今度それを、国からのお金を受けるための議会を開かなきゃなりません。その議会が定例の三月にやるんだとすれば、もうこれで半月以上おくれます。それから、仮に議会で受けたとしても、今度はそれを、工事を発注するときに、ある一定金額以上の契約は契約承認の議会を開かなきゃなりません。
それは定例でいけば六月議会ですよ。ですから、そういうことを工夫していただかなきゃいけない。これは早期執行の手続をやっていただきたい。
それからもう一つは、前払い制度。結局、発注しても、地域にお金が実際に払い込まれなければ、景気効果にならないわけです。通常だと、ある一定金額を超えると、例えば、前払い金は、何億円の工事を出したって五千万とか、これは効果を発揮しません。ですから、ぜひ、これは私どもは全国の自治体にお願いしております。早期の執行とそれから迅速な手続、この工夫をしていただきたいということであります。
あわせて、今の御質問の件についても、これはできる範囲、どこまでがあるのか検討したいというふうに思いますが、まずは早期成立と早期執行をよろしくお願いします。
○山田(宏)委員
早期成立については、我々野党もいたずらに時間を延ばそうという気はございません。そしてまた、きちっとした十分な議論というものを深めた上で、早期にやはり成立をしていくべきだと考えております。
ただ、地方自治体の経験から申し上げますと、一日、二日、三日という話ではなくて、これはもう、予算の概要というのは、各役所と省庁とが大体打ち合わせして、どういうものがあるのかというのは大体もうわかって、事務局同士で大体決まっているんですね。そしてあとは、これから地方議会がありますから、その地方議会で審議をして成立させるんだから、新藤大臣おっしゃられましたけれども、そういうんじゃなくて、本質は、今申し上げたいのは、追及しているんじゃないですよ、今回はいろいろな理由でこういうことになった、どっちが悪い、どっちがいいじゃなくて、この負担を下げてくださいよ。どうでしょう。
○新藤国務大臣
御存じだと思いますが、定例議会でやっていたのでは、これは早まらないんです。ですから、臨時議会等、そういったものを開いていただかなきゃならない。これは、委員にもそうですし、これをごらんになっている全国の自治体の関係者の皆さん、ぜひ配慮してもらいたいと思います。
その上で、今の御提案については、私が全て所掌しておるわけじゃありませんから、ですから、いろいろな工夫をしなければならない、これは問題意識を持って研究したい、このように思います。
○山田(宏)委員
総務大臣が全部所掌しているわけではないということなので、ちょっと質問通告にはないんですが、総理、どうでしょう。
○安倍内閣総理大臣
ただいま総務大臣が申し上げたように、各自治体においては、早期実施できるように努力をしていただいた上において、今回は大型の補正になったということでありますから、我々も、地方の負担ができる限り軽減されるよう検討していきたいと思います。
○山田(宏)委員
ぜひお願いをいたします。
私、都議会の議員を八年やりまして、その後、国会の議員を二年半ぐらいやりまして、そして、その後、地方自治体の首長をやりました。議員をやったときの経験と、それから首長になった十一年間、比べてみると、自分の考えが随分変わったというのが印象なんです。
どう違うかというと、議員のときは、やはり予算の使い道というものに非常に強い関心を持ちます。そしてまた、そのことで論議をします。議会もそうです。しかし、こういう自治体の経営ということに携わると、支出も大事だけれども、むしろどうやってそのお金をつくるのか、借金をしないで、そして住民に負担をさせないで、どうやってお金をつくるのかということばかり、頭がいっぱいになるんですよ。この違いを自分で感じてまいりました。恐らく、そちらに座っておられる安倍総理ほか皆さんは、そういうようなマインドになっておられるんだろう、こう思っております。そういった経営者、自治体経営者、国家経営者というのを経営者と言わせていただければ、企業の経営者と同じように、今、国の状況が大変厳しい中で、その企業をどうやってよくしようかというときに、大体三つか四つ、企業の経営者だったら頭に浮かぶ。それは一つは、やはり売り上げを上げることです、これがもう一番大事。二番目は、コストを削減する、これが二番目。そして三番目、どうしてもしようがないときは銀行に借金を申し込む。そして最後に、商品やサービスの値上げなんです。でも、これは競争から落ちていく可能性がある。
国の経営も一緒だと思うんです。最初に値上げをしたらいけないんだ。これは増税です。最初に努力すべきはやはり売り上げを上げること、そして次にコストを削減すること、これにまず徹底的に取り組むことがいい。今回、アベノミクスと言われている三本の矢のうち、先ほども議論になりましたように、三本目の矢、成長戦略こそ、やはり売り上げを上げるということにつながるものだ、こう思っております。
そこで、この売り上げをどうやって上げるのかというのは非常に難しいことがあると思います。しかし、私は、結果としては、規制改革と、それから、やはり海外への市場を広く、なるべくマーケットを大きくして、日本がいろいろなところに努力をすれば売れるようにしていくというようなことが一番成長にふさわしい、こういうふうに思います。
そういった意味で、TPPについてお聞きをしたいと思います。
TPP、環太平洋パートナーシップ協定ということについては、各党にいろいろと議論がございます。我が日本維新の会は、TPPについては、なるべく早く協議に参加をし、そして国益に従って判断をすべきであるというのが私たちのスタンスです。
今回もいろいろと議会で取り上げられましたけれども、このTPP、デメリットのことはたくさん言われるんですけれども、TPPのメリットということについて、総理の方から、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
このTPPについては、基本的な姿勢なんですが、自由民主党、また私としては、自由な貿易環境というのは日本にとってプラスである、こう考えています。
そして、その中にあって、FTAやEPAを推進してきたわけでありますし、このTPP加盟国、米国そして太平洋の国々でありますが、こういう国々と貿易において自由な環境をつくっていくということにおいてはもちろん大きなプラスもあるだろう、このように思いますね。日本は鉱工業製品については圧倒的な競争力を持っておりますから、この競争力が生かされていくということは大きなメリットになっていくんだろうと思います。
しかし、その中において、いわば農業分野、あるいは食品の安心、安全や国民の安心にかかわる分野について、どうやって守っていくことができるかどうかということについても十分に目配りをしていく必要があるだろう、このように思います。
○山田(宏)委員
まさに、デメリットも当然ありますけれども、大きなメリットもあるんだと。
先ほど申し上げましたとおり、いわゆるアベノミクスが成功して日本がいち早く立ち直ってほしい、それを通じて、教育や防衛など大事な仕事にお金を回してほしい、こういうふうに思っております。
そういう中で、この成功の鍵となる成長戦略のTPPというのは、私は、後でお聞きしますけれども、いろいろな前提を超えてもし参加をすることができれば、アベノミクスにとっては大きな福音になるんじゃないか、こう思っているんですけれども、いかがでしょう。
○安倍内閣総理大臣
ちょうどこれは委員が配っていただいたTPP交渉参加国でございますが、ベトナム、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、メキシコ、ペルー、チリという国々でありますが、こういう国々の成長力を日本が取り込んでいく。
日本は残念ながら人口においては減少という傾向に入っている中において、この中でも特にベトナムは人口がどんどん伸びていくという過程にあるわけでありまして、いわば、このアジアの地域、そして環太平洋地域の成長力を取り込むということにおいては当然メリットはあるんだろう、このように考えております。
○山田(宏)委員
ありがとうございます。
さて、そのTPPへ、私たちは、交渉にはなるべく早期に参加する方が国益につながる、こういうふうに考えております。
その中で、自民党の公約につきましては、先日以来、総理の方からいろいろと御答弁がありました。聖域なき関税撤廃というものが前提である限り交渉には参加しない、逆を返せば、それが前提でなければ交渉には参加するというふうに捉えられます。
そこで、果たしてこれが大前提なのかどうかということが問題なんでありますけれども、まず茂木大臣にお聞きしますけれども、茂木経済大臣は二十九日の閣議後の記者会見で、新聞記事によりますと、先日御訪問されましたダボスでアメリカの通商代表部のカーク代表と会談した際、例外品目が認められるかどうかということについては一定の感触を得たというようなお話をされたと報道されております。
この一定の感触とは一体どういう感触なのか、また、この例外が認められるという感触なのか、その辺のところをお聞かせいただければありがたいと思います。
○茂木国務大臣
先月末、ダボスにおきまして、WTOの非公式閣僚会合そしてダボス会議に出席をしました。その際、米国のカーク通商代表部の代表とお会いをいたしました。そこで、日米の経済関係全般について、さらにはTPPについても話し合いを持ちました。そこの中で、TPPというのがどういう性格の経済連携交渉であるのか、そしてまたアメリカがどのような問題について関心を有しているのか、有意義な意見交換をさせていただきました。そういった意味におきまして、一定の感触を持たせていただいた。
決して、特定の品目が例外になります、なりません、そういう議論は行っておりません。そういった意味ではなく、TPPの性格、そして、これまで日本も前政権の間で事前の協議をやってまいりました。そういったことにつきましても我々として検証した上で、国益にかなう最善の道は何か、これを模索していくわけでありますが、これまでの経過さらにはTPPの性格等々について一定の感触を得た、こういうことで申し上げました。
○山田(宏)委員
一定の感触というのは何なのかとお聞きしたんですけれども。
短くちょっと御答弁をお願いしたいと思うんですけれども、一定の感触というのは、要は、これが前提とは、まあ前提は、前提というか原則だけれども、例外というものは交渉次第だ、米とかじゃないですよ、一般的に交渉品目があるんだということを意味しているんでしょうか。明確にお答えいただきたいと思います。
○茂木国務大臣
TPPにつきましては、我々の方針、自民党としては、聖域なき関税撤廃、これを前提にする限り交渉には入りませんということであります。
そして、このTPP交渉の進め方としては、全ての品目をテーブルにはのせます、こういう形にはなっている。そして、高いレベルの経済連携協定を目指すという意味でありまして、それにつきまして、私は一定の感触と申し上げました。
○山田(宏)委員
ちょっと大事なところなので。
全ての品目をテーブルにのせるのはわかりました。しかし、全ての品目の関税をゼロにするということではないですよね。
○茂木国務大臣
恐らく、タリフライン、これまで、TPPじゃなくても、EPAにしてもそうでありますけれども、それからまたFTA、アメリカでタリフラインが大体一万ぐらいあると思います。日本が九千ぐらいになってくると思いますけれども、これまでのさまざまなFTAであったりとかEPAの交渉、このタリフラインの中で何%いくか、例えば八〇%とか八五%とか九〇%とか、非常に高いレベルのものを目指しているということであります。
繰り返しになりますけれども、具体的にどの品目について例外がある、ない、こういう議論はいたしておりません。
○山田(宏)委員
それは聞いていないんですよね。まあいいや。
そうしたら、ちょっと方向を変えて、甘利大臣。
先日、甘利大臣も、「例外品目「可能性ある」」という記事の中で、記事なので確認をさせていただきたいんですけれども、甘利大臣は、「(聖域なき関税撤廃という)かたくなな前提条件が変わる可能性はある。ゼロではないと思っている」、こういうふうな御発言をされたということですが、これが事実ならば、その根拠等をもう少し御報告いただけないでしょうか。
○甘利国務大臣
TPP交渉が他の交渉と違いますのは、私が通商交渉に臨んだ経験からしますと、それぞれ譲れないものを多少多目に抱えて交渉に参加して、その中で、うちはこれを譲るからそっちもこれは取り下げてくれみたいなことで、だんだんだんだん例外区域を狭くしていって、この辺で、これ以上譲れないというところで妥結が成り立つんですね。TPPの場合は、最初からもう裸で上がってくれ、それから交渉でとっていくという、ちょうど逆な交渉のスタイルになっていると私は感じているんです。
表現の仕方にもよると思うんですけれども、各国とも、一〇〇%、例えばシンガポールのように、ほとんど国内産業がなくて全面自由化ということが可能な国と、それぞれの国内でいろいろな事情を抱えている国とは事情が違います。事情を抱えている国が集まっている中で、全く裸で交渉に臨むということを大前提と本当にできるのか。
アメリカだって、砂糖なんか譲れないはずですよ。それ以外にも多分いろいろ出てきます。ですから、例外なき関税撤廃を前提とすると、我々は自民党の党公約で、それじゃ交渉に入りません、それはそのとおりなんであります。果たして事実としてそうなんだろうか、アメリカだってそんなことはできないんじゃないかなというのを経験値で私は感じている。
それは、実際にいろいろな場面で接触が続いていくと思います。そういう中で姿形が明らかになってくる。全く建前どおりの話であるならば我々は前へ進めないけれども、実は違うんだということであるならば、また新しい局面が出てくるであろう。その経験値からの感触を申し上げたわけであります。
○山田(宏)委員
ありがとうございました。
経験値から見ると、今までの交渉の方向とは逆だけれども、まず上がって、徐々に、これはお互いセンシティブな話だよねということは交渉事項になっていくものだろうというふうにお考えになられている、こういうふうに認識をしていますけれども、正しいですか。
○甘利国務大臣
いろいろな場面で話が出た中で、事務的にも接触はしていると思います、その可能性は全くゼロではないということを申し上げているのであります。
ただ、これはやってみなければわからない。かたくなな姿勢が崩れないのか、建前として崩せないのか、実はそうではないのか。これは、可能性としては、どっちにとってもゼロということは言えないということを申し上げているわけです。
○山田(宏)委員
そうですよね。交渉というのはそういうものなんですよ。
茂木大臣、ちょっと確認なんですけれども、去年の三月に東京で、ウェンディ・カトラー米国通商代表部の代表補、ナンバーツーですね、その方が、APCAC、アメリカ商工会議所アジア太平洋協議会、ここのシンポジウムに出られていろいろな発言をされている。その発言の内容は、我々が気にしているような、例えば、混合診療も含め、公的医療保険制度外の診療を認めるようなものではTPPはないとか、単純労働者を入れることは、こんなことはTPPの話ではないとか、いろいろとこういうお話をされているということは御確認されているでしょうか。
○茂木国務大臣
経済産業省そしてまた外務省、それぞれの省庁におきまして、事務レベルそしてまた大臣レベルでも話し合いの機会というのは持っております。
そういった中で、個別の品目がどうなるか。これはセンシティブな品目もございます。センシティブな品目については答弁の方も極めてセンシティブになる、このことは御理解いただきたいと思います。
○山田(宏)委員
私は、茂木大臣は昔からずばずばちゃんと本音を言っていただけるというふうに思っておりまして、ここはもう昔どおりの茂木大臣で御答弁をお願いしたい、こう思っているんですけれども。
要は、いろいろとよくわからないように国民の皆さんも思うかもしれませんが、それぞれ各国でやはり気になる項目がある、それはもうやはり交渉材料だということだと思います。だから、全てが全部例外なく関税撤廃という前提ではないんじゃないか。それが原則ではあるけれども、今後は、それをテーブルにのせながら、全てについて議論対象、交渉対象だというふうに素直に私は受け取るんですね。
外務大臣にお聞きしたいんですけれども、去年三月に外務省は、TPP交渉参加に向けた関係国との協議結果と題した資料を発表しております。その資料には、次のような記述があります。例えば、全品目をテーブルにのせることは全品目の関税撤廃と同義ではないという発言が関係国からあった。または、包括的自由化の解釈は国によって異なるという指摘もあった。このことについては、外務大臣は御認識いただいているでしょうか。
○岸田国務大臣
私も、先月十八日、アメリカに参りまして、クリントン国務長官、またカーク代表、こうした関係者と会談をさせていただきました。その際に、TPP交渉というもの、全ての品目をテーブルにのせるというのが原則であるというこの言質、先方から何度も聞きました。そういった方針については私も認識をしております。
そして、前の政権から引き続きまして、政権交代後も、TPP参加国各国との間で、二カ国間協議そして情報収集のための協議、こうした協議は積み重ねております。
一月も四カ国と協議が行われていますし、二月も精力的にこうした二カ国間協議、情報収集のための協議を続けております。こうした協議の中で情報を収集し、実情を把握するべく努力している、これが現状でございます。
○山田(宏)委員
先ほどの報告は御認識されているんですよね。
○岸田国務大臣
はい、認識しております。
○山田(宏)委員
今それぞれの大臣の方から御答弁をいただいてまいりました。
アメリカの新聞なんかを見ても、テーブルにはのせるけれども、全ての品目はテーブルにはのるが、しかし、それは交渉次第というのがやはりこの実態ではないかと思うんですね。
そうすると、聖域なき関税撤廃が最初から前提ではないというようなシグナルは、いろいろなところから感ぜられるわけです。
もう一回、外務大臣にお聞きします。
きのうも原口議員の御質問から出ておりましたが、このスケジュールなんですけれども、十二月に、この間、十五回目の予備的会合というんですか、準備会合が行われまして、今度、三月、五月、そして九月、そして予定としてはことしの十月のAPECで、まず第一フェーズというんですかの調印を行う。大体、今そういうようなスケジュール感で流れている、こういうふうに認識してよろしいですか。
○岸田国務大臣
TPP交渉につきましては、まず、この十五回目の交渉会合において、二〇一三年中を目指すということ、また、ASEAN関連首脳会合においても、二〇一三年中を目指すということが確認をされています。
御指摘のようなスケジュールが予想されますが、結果的には、今後の交渉の進みぐあいによって全体日程の変化もあり得る、慎重に注視していきたいと存じます。
それで、最後に、先ほどちょっと答弁させていただいた際に、各国との協議、一月、四回と申し上げましたが、済みません、この四回というのは去年の一月でありまして、ちょっと数が間違っておりました。協議を続けているということは事実でございます。
○山田(宏)委員
昨日の原口議員の御質問だと、アメリカには九十日ルールというのがあって、TPPに交渉参加するためにも、全交渉参加協議国の承認を得なきゃいけないと。特にアメリカは、議会の承認に九十日はかかるというようになれば、私、十月に入ると言ったって、十月にはもう料理は全部できていて、本当はスパゲッティが食べたかったのにラーメンが出てきたりするわけですよね。だから、本当に食べたいものを食べたい、あるべきルールをつくるためには、事前交渉に参加することは国益のためには必至だと思うんですよ。そうすると、九月とすると、九十日減らしますと、最低五月にはやはり何らかの形で、今のスケジュール感でいけば、表明が必要になる。それを超えると、できた料理をそのまま食べるか食べないかという、イエスかノーかという話になりかねない。これで本当に交渉なのか。
そういう点で、このスケジュール感というのは総理も御認識でしょうか。
○安倍内閣総理大臣
年内に交渉を妥結するということについては、私も承知をしております。その中において、今日に至るまでの事前交渉、あるいはまた、経産大臣、外務大臣がそれぞれいろいろな感触を得ております。そうした感触を総合的に判断をして、私は最終的に判断をしたい、このように考えております。
○山田(宏)委員
この前提ですね、聖域なき関税撤廃というのが必ずしも交渉参加の前提ではないということが確認されれば、当然交渉には参加するということだと思うんですけれども、今、全体のいろいろなお話や調査の御報告を聞いていると、大体、周辺の情報はわかってきたというふうに思うんですね。
そうすると、やはりそろそろ、本当にこれが前提なのか、前提といいながらもこれから交渉次第というふうになるのかは、最後はやはり決断をされる総理が御確認をいただかなきゃいけない。それは、日本国内の、日本の国のさまざまなつかさつかさの人が調査した結果で判断するだけではなく、一番強力な大国であるアメリカが一体どういう認識なのかということも含めて、やはり今度の首脳会談でこのことはぜひ確認をしていただきたい。
きょう何か朝、そういったニュースが流れたようでございますけれども、このことについて、もう一度、総理がオバマ大統領との初めての首脳会談、そして、日米同盟をさらに強化、深化していくためにはとても大事な一歩です。ここでやはりきちっと確認をしていただいて、そしてその上で、これは自民党が公約にした前提条件というものではないというふうに総理御自身が確認をされれば、ここはリーダーとして、首脳会談の場でやはり協議参加を表明されるべきだ、こういうふうに私は思っておりますけれども、まずは確認をされるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
TPPについて、日本が交渉に参加するかしないか、これはTPPにとって極めて重要なことは事実でありますし、また、米国政府の関心が、日米同盟、日米関係という文脈においても関心が高いのも事実であります。その中において、自民党で公約に掲げたように、聖域なき関税撤廃を前提としているのかどうかということについて、私自身が確認をする必要があります。それを確認した上において、さらに、交渉に参加するかどうかという判断をしていきたい。確認するのは、私自身が確認をしなければならない、このように考えております。
○山田(宏)委員
済みません、もう一度、オバマ大統領との会談で、何らかの形でその辺の感触を得る努力をされるということでございましょうか。
○安倍内閣総理大臣
今の段階で、日米首脳会談の議題についてここでいろいろと申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、首脳会談は予定されているわけでありまして、私自身がそういう感触を得ることができるかどうかということは、極めて重要なポイントであることは間違いないだろう、このように思います。
○山田(宏)委員
ありがとうございます。
昨年十一月に、日中韓FTA交渉の開始を政府は宣言しました。この中の国は、時に自分の資源を政治的理由でとめたり、輸入物に対して検査の期間を長引かせたり、または投資している企業のさまざまなルールを突然変えたり、またさまざまな海賊品をいっぱい出しているような国とFTA交渉をするということを一方でやりながら、長い同盟国で同じ価値観を持っているアメリカをも含む交渉については非常に懐疑的に取り組むというのは、私は何となく解せない気がするんですね。
やはり日中韓FTAの交渉に入るのであれば、そちらを妥結させるためにも、またはそちらを進ませるためにも、これはバランスをとってTPPの協議に参加することの方が私は国益に合うと。それで、いい方に入ればいいんです。ですから、そういった意味で、交渉に参加をして、そして国益を十分きちっと踏まえた交渉をして、もしそのTPPの交渉で、これは我が国の国益に合わないということであれば調印しなきゃいいんだし。
そういった、交渉をして調印をしなかった例が今まで、外務大臣、ありますか。
○岸田国務大臣
かつて、京都議定書のときのアメリカ、こういった先例はあると存じます。
○山田(宏)委員
そうです。京都議定書もそうだし、それから日韓EPAの交渉も、交渉を開始したけれどもやはり協議調わず、これもだめ。大体、交渉というのはそういうものですから。TPPについても、私は、やはり強力なチームをつくって国益の増進に尽くすべき時期が来たのではないか、こういうふうに考えております。
なおさら、今回の議会でもいろいろ問題になっておりますように、レーダーの照射事件とか、東シナ海、南シナ海のさまざまな問題を考えておりますと、やはり日米同盟というものが、今きちっとさせていかなきゃいけない時期で、もちろん集団的自衛権とか普天間の問題もとても大事な問題ではありますが、アメリカ側の関心を見ますと、やはりこのTPPというものについての共通項をお互いがつくれるかどうかということが、本当に日米同盟に、安倍総理があちらに行かれてぱっと決断したら、それは、ああ、今まで決められない政治で先送りの政治ばかりだったけれども、このリーダーは違う、信頼できる、もうそうなるに決まっていますよ。
そうなれば、今まで、私にしてみては、ちょっと質問の時間がないんですけれども、安倍総理と価値観を共有している靖国の問題にしても、従軍慰安婦の、さまざまな歴史問題にしても、そういうことについて、今残念ながら、アメリカとの関係上、さまざまな配慮で、政権としてはそれを今の課題としては取り上げないという方針を貫いておられることは私は理解しています。理解していますけれども、やはりそのためにそういうものもきちっと、我々が本当に大事にしてきたものを、日本の独自のプライドとか、主張とか、自分の国は自分で守るとか、こういったことを実現していくためにも、ここが揺らいでいたらそれが全然進まなくなっちゃう、今までの政権と同じになっちゃう。
ここは絶好のチャンスだと思うんです。ここさえきちっと押さえれば、歴史問題にしても領土の問題にしても、ある程度めどがつけられるかもしれない。
私は、そういった意味でも、今回の初めての日米の首脳会談というのはとても大事だと。リーダーとしてこれを決断されれば、日本維新の会なんか次の選挙で吹っ飛んじゃいますよ。もう自民党圧勝間違いなし。必ずそうなる。私はそういうものだと。国民はそう思っているんですよ、どうせ自民党は後で賛成するんだと。だけれども、ずるずるなればなるほど我が国にとってはマイナスなんですよ。
ここは、党内に反対のあることもわかっています。それから、さまざまな団体が反対しているのもわかっています。しかし、それを説得していくのがリーダーの役割で、私たち首長も、いろいろな反対の中で、やはり中に入って説得してきましたよ。ここが真骨頂です。
総理、ぜひ御決断をお願いします。
○安倍内閣総理大臣
ただいま山田委員から極めて思い切った御発言もございましたが、いわばTPPについては、これは重要な問題であり、さまざまな課題も含んでおります。
農業問題についても、やはり守るべきものは守らなければならない。いわば産業という側面で切って言えば、どんどん地平線が広がっていくわけでありますから、いわばTPPのプラス面だろう、このように思いますが、一方、私は、例えば私の地元は山陰の地域でありますが、棚田が広がっております。これはもう息をのむほど美しい棚田が広がっていて、農業の生産性ということにおいては生産性は極めて落ちるんですが、こうしたいわば瑞穂の国の原点である棚田風景があって私は初めて美しい日本なんだろう、このように思います。この日本の国柄を守りつつ、いかに地平線を開いていくことができるかどうかという中において決断をしていきたい、このように考えております。
○山田(宏)委員
私もそれは全く同意です。やはり、交渉に参加することはいいことばかりじゃないです。その中でやはりデメリットを受ける産業も、または業界もあります。そういったところには十二分に配慮をすべきだと思うんですね、今後の国内政策において。しかし、本筋を、タイミングよく、見失ってはならない。国益のためにも私はそういう判断をお願いしたい、こう思っております。
きょうは、この後、消費税の問題とか、あと五分と来ましたし、ちょっとなかなか五分じゃできないので、幾つか私たちが大事にしているテーマについてお聞きをしておきたいと思います。
まず、靖国神社の問題です。
私も毎年参拝させていただいています。それはなぜかと申しますと、国の命令によってとうとい命を犠牲にされた方々に対して、国自体が、または国民がそういった方々に対しての感謝の気持ちを失ったら、やはり私たちの未来は開けない、こういうふうに思ってきたからです。総理もそうだったと思う。ここにいらっしゃる多くの大臣の方々もそうだったと思うんです。
前政権は、なぜか知らないけれども、全大臣が参拝してはならないというような、足どめみたいな、そういう申し合わせがあったのかどうか知りませんけれども、安倍新政権、第二次安倍政権は、この靖国参拝、これは、私は別に八月十五日にこだわっていません。これまでの総理もみんなこだわっていなかった。八月十五日じゃなくて、靖国にこれまで、昔から、一九四五年から、総理は、一年に二回、三回、参拝された方もずっとおられました。中曽根総理になって、一九八五年に一時これが中断され、その後、小泉さんになってまた復活して、また中断ということになりました。それが安倍総理にとっては一つの残念な点だということは御発言されている。
さて、安倍政権において、この靖国参拝ですね、どの方がいつ行かれるかわからないけれども、これは、内閣として閣僚は参拝しちゃいけないなんというようなことはないんですよね。
○安倍内閣総理大臣
もちろん、内閣として、全員が参拝しろとか、全員が参拝してはいけない、こんなことを申し上げるつもりは全くございません。これは、各閣僚の自由意思に基づいて行われることだと思います。
○山田(宏)委員
ありがとうございます。そうしたら、ちょっと何人かの大臣にお気持ちをお聞きしたいと思っているんですけれども、稲田大臣、私は、大臣の野党のころの質問は本当にすばらしいなと思っていたんですよ。ぜひ実行していただきたいと思うんですけれども、靖国の参拝はされますか。
○稲田国務大臣
私の所掌外のことでありますし、また、危機突破内閣である安倍内閣の一員として、また総理とは、弁護士時代、また政治家になってからは思想信条を一致し、ずっと政治行動もともにいたしておりますので、安倍内閣の一員として適切に判断し、行動してまいります。
○山田(宏)委員
稲田さん、あなたがそう言ったらもうみんな同じ答えになっちゃうんですよ。
では、また聞かなきゃいけないんですけれども、古屋大臣、どうですか。
○古屋国務大臣
総理がいつもおっしゃっている、国のために命をささげた方々に哀悼の誠をささげるのは当然である、その気持ちは私は寸分とも変わることはありません。
しかし、内閣の一員として、参拝するとかしないとか、そういうことをここの場で言うのは適切ではないと思います。
今総理からも、それぞれの閣僚が全部参拝しちゃいけないとか、みんな参拝していいとか、そういうことを指示するつもりは一切ないと今はっきりおっしゃいました。私は、内閣の一員として、総理の言葉をしっかり重く受けとめて適切に対応したいと思います。
○山田(宏)委員
期待しております。
新藤大臣、どうでしょう。
○新藤国務大臣
私は、もう既に何度も行っております。子供のお宮参りも初詣でも、家族で機会があればしょっちゅう行っておりますし、祖先がいるわけでありますから、これは特別なことではありません。ふだんのことであります。
そして、今後については、これは内閣の方針というのがございますから、その中で適切に判断していきたい、このように思っております。
○山田(宏)委員
安倍内閣の方針は、今お聞きしましたように、自由ということ、個人の判断ということですから、個人の御判断でお願いしたい、こう思っております。
自民党は、日本を取り戻すということで、本当に取り戻さなきゃいけない。また、我々維新の会は、強く賢い日本をつくる、そういう思いで、これからやはり、自分の国は自分で守る、誇りの持てる国にする、そして世界に雄々しく競争に乗り込んでいく、こういうような強く賢い国をともにつくっていきたい。その分野ではぜひ協力をしてやっていく決意ですので、どうか頑張っていただきたい、こう思います。
以上です。