○山田(宏)委員
まず、今回の民法の改正案は大きな改革となります。成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げるということでございまして、大きな変化の中で対応が求められるということが議論になっておりました。
この間、通信制高校、通信制というのは、高校は全日制、定時制、通信制とありまして、家にいても勉強ができると、そして高校卒業の資格が取れると、こういった生徒さんが集まっておりまして、いろんなことで、例えばサッカーの選手になりたいとか、またミュージシャンになりたいとか、そういったそれぞれ早めに自分の道を決めてそっちへ行こうという生徒たちがこの通信制という学校を利用している場合も多くて、その通信制高校の理事長から今回のことについてのお話がありまして、実は、通信制にはいろんな子供たちがいるんだけれども、とびなどをやろうと、早く自分で独立したいという人たちもいて、そういう人たちは、やはりなるべく高校を卒業してすぐ、とびで自分は一つの会社なり事業所を立ち上げていきたいと、こういった子供たちも実は多いんだと。そういった人たちがなるべく世間の中できちっと成人として扱われていくということは、これはその人たちにとっては朗報だろうということで私はお聞きをしました。
いろんな面がありますけれども、新しいもう大きな時代の変動期になっておりまして、そういった中で新しい時代を、扉を開くというのは、やっぱりそういう自立心を持った子供たちが、また生徒たちがなるべく早く大人と認められて契約もできるというようなことが実はやっぱりまた自立というものを高めて、早めていくんだろうというふうに思います。
経済的な自立があってこそ初めて精神的な自立が生まれてくると私は思いますし、やはりそういった意味では、そういった若い人たちに対して活躍の舞台を用意していくという視点ではこの法案もいいのではないかと、私は賛同するものであります。
しかし一方で、幼稚な生徒も多いというふうな意見もあります。そういった中で、この今回の成年年齢の引下げについては、消費者被害の拡大とか、又は若者の困窮とか、こういった問題が多く懸念を示されました。そういった懸念を払拭するために必要な施策に取り組んでいかなきゃいけないわけでございますけれども、二〇二二年の本法律案の施行に向けて取り組むべき施策の内容をこれから検討されるということなんですけれども、不断に見直しながら万全な体制で臨んでいかなければなりません。
また、各々の施策のまず進捗状況ですね、施行までの間にどういうふうに何がどれぐらい進捗したのかとかいうこと、又は、施行まで、一体そういった施策や、又は十八歳に年齢が引き下げられるということを国民、とりわけ若年層に対してどれぐらいそれが浸透したのかというようなことを定期的に調査をして、きちっと国民や議会に、国会に対して報告ないし公表していただきたいと、こういうふうに考えておりますけれども、その懸念の払拭に努める、そういったことに対しての大臣の御所見をお願いしたいと考えております。
○国務大臣(上川陽子君)
ただいま委員からこの成年年齢の引下げについて、二十歳から十八歳にするということでございますが、大きな時代的な意義があると、こういうお話がございました。その意味では、大変法務省としても、この環境整備も含めて、極めて重要な問題であるというふうに考えているところでございます。
成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議がございますが、ここにおきましては、個別の施策ごとの工程表、これを作成した上で、その実施状況につきまして連絡会議の構成員であります関係府省庁が相互に確認をし合い、施策の進捗管理、これを予定しているところでございます。
今後、連絡会議につきましては継続的に実施をしていくわけでございますが、その過程におきましては、既に予定されている取組を進めるだけではなく、新たな課題が発生してきた場合につきましては、必要に応じてこの工程表にこの課題につきましても追加をし、また修正するなどして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
また、本法律案の施行に向けまして、国民の皆様方の意識の状況につきまして把握をしていくということにつきましては大変重要であるというふうに考えております。
本法律案の成立後、平成三十年度中におきまして、成年年齢の引下げに関連して生ずる様々な影響を把握するため、成年年齢の引下げの意義、また他法律への影響、これまでの環境整備施策の内容といった事項につきまして、若者を含む国民の皆様への浸透度を調査することを検討をしております。こうした調査を踏まえまして、更なる環境整備の施策の充実、また効率的かつ効果的な周知活動を行うことも予定をしているところでございます。
こうした浸透度の調査につきましては、国民の意識の変化を把握するため、平成三十年度以降につきましても随時行うことも検討しているところでございます。
成年年齢の引上げにつきましては、当委員会におきましても様々な問題点の御指摘をいただいたところでございます。施行までの四年間で、この連絡会議の工程表、世論調査の結果等を随時公表するなどいたしまして、必要な情報発信に努め、そうした懸念を払拭し、国民の皆様の理解が深まるように全力で取り組んでまいりたいと存じます。
○山田(宏)委員
ありがとうございました。
本委員会では消費者教育を高校までの間にちゃんと充実をせよという声も多かったと思いますけれども、それだけではなく、若年層がこの消費者被害に遭ったとき又は、よく、これは心配だな、困ったなと契約をするときに思ったときに気軽に相談できるような、そういう窓口の設置も必要ではないかと考えておりますけど、その点についてはいかがでございましょうか。
○政府参考人(井内正敏君)
お答え申し上げます。
まさに御指摘のとおり、消費者の安全、安心を確保するためには、全国どこに住んでいても質の高い相談、救済が受けられるよう、若年者を含めた消費者が身近に相談できる窓口の充実を図ることが重要と考えております。このため、全国に消費生活センターの設置を進めるとともに、消費者トラブルに遭った際に身近な消費生活相談窓口を案内する消費者ホットラインについて、平成二十七年七月より全国共通の三桁の電話番号一八八による案内を開始しておりまして、休日相談も可能な体制を取っております。
また、若年者が消費者トラブルに遭った際には消費生活センターに確実につなぐことが重要であることから、まずは一八八の周知を図り、若い世代も含めて一八八の利用の普及をすることが重要と考えております。消費者庁ホームページへの掲載やチラシの配布を始め、政府広報や消費者庁ツイッター、首相官邸LINE等様々なツールを用い普及啓発を行っているところでございます。
さらに、今般の成年年齢の引下げに対応しまして、国民生活センターにおいて、若年者が遭いやすい消費者トラブルの具体的事例を基にした研修を消費生活相談員向けに実施するほか、全国の相談員向けに制度変更や相談事例の周知をすること等により現場の対応力を高めるとともに、消費生活センターの整備等を行って若年者が適切に相談を行える体制の充実にしっかり努めてまいりたいというふうに考えております。
○山田(宏)委員
一八八のお話ありましたけれども、電話もそうなんですけど、やっぱり二十四時間、ホームページとかそういったものを通じてやはり相談できる体制というものも、今の若い世代、ツールがそういうものですから、そういうものも考えてもらいたいと思います。
また、一八八やそういう相談窓口の周知については、とりわけ高校や専門学校、大学などの教育機関のみならず、さらに、若者が出入りするようなそういう場所、又はホームページでもよく若年層が見ているようなところ、こういったところにもちゃんとバナーを張って、やはりそこまでやらないと、今までの大人とは全然違いますので、是非そういったところもよく専門家の意見を聞いてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(井内正敏君)
お答え申し上げます。
まさに重要なことでございます。それで、私ども、四月二十二日、沖縄国際映画祭というところで消費者庁として初めて参加して、一八八を中心にPR活動を行ったところでございます。また、消費者月間の取組として、特に若者など、従来声の届きにくかった消費者を意識しまして、吉本興業株式会社と提携したPR活動の公開などを行っており、従来とは違った様々な取組も行っているところでございます。また、一八八の啓発ポスターの制作も進めておりまして、全国の地方自治体への発送を予定してございます。地方自治体は、広く消費者の目に届くよう、役所の入口や公設の図書館、体育館、プール等への掲示もお願いしているところでございます。
また、ホームページの活用ということでございますけれども、国民生活センターのホームページでは、国民生活センターや消費生活センター等が消費者から受け付けた相談事例と解決結果、あるいは消費者から、皆さん、情報提供があったよくある事例についての回答も掲載するなどの工夫もしているところでございます。
なお、SNSなどの活用につきましては、まずは消費者ホットライン一八八の周知を図り、若い世代も含めて一八八の利用の普及が重要と考えておりますけれども、メールによる相談等を取り入れている自治体もありますので、今後も、時代の変化に応じて消費者が適切に相談を行える環境整備に是非努めてまいりたいというふうに考えております。
○山田(宏)委員
それでは、今回の成年年齢の引下げに伴って、成人式についてお聞きをしたいと思います。
成人式は、現在、私も杉並の区長として十一回成人式をやりましたけれども、大体一月の成人の日というものに合わせてやっているところが約八五%、自治体では、一三%は八月のお盆と、特に東北地方が多いと、こういうふうに聞いております。今回、十八歳に引き下げたときに、仮にこの成年年齢十八ということで成人式を行った場合、一月ということになると、これはもう完全にほとんどの高校三年生にとっては受験シーズン。もう成人式どころじゃない、しかも親ももう完全に頭がいっぱいということで、かなり成人式を行っても欠席等が増えるんではないかと、こういうふうな危惧もされております。
そういった中では、これは自治体が成人式の日程は決めていくんですけれども、しかし、仮にお盆ということになっても、やはり成人の日自体が一月と国の法律で決まっている中で、それもちょっと無理があるかなとも思ったりして、そうすると、十九歳の一月というと、これまた何で十八歳の人がいるのに十九歳なのかということになってくると、成人の日、成人式の時期が非常に難しいなというふうに考えております。
しかし、成人式は大人になる喜びや責任感をお互いが共有する、又は友達同士で同窓会に集まると、こういった大事な機会にもなっておりまして、何とか、そういう成人式の時期ということについても、これは自治体が決めることでありますけれども、国としても一定の考え方というものを示していくべきではないかというふうに思います。
例えば、今までは二十歳で成人式やってきたわけですから、二十歳の成人式というのもありじゃないかと。やっぱりたばことかお酒とかギャンブルは、これは二十歳からですから、そういったことも含めれば、少しそういった柔軟な考え方も含めて国の方でよくそのガイドライン等を決めていただくということがいいんじゃないかと思うんですけれども、この点についての大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君)
委員御指摘の成人式の時期、またその在り方等につきましては、法律案の成立後に、成年年齢の引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議におきまして、検討課題として取り上げるということを予定しております。
政府といたしましては、今後、関係者との意見交換等を通じまして、平成三十一年度末までに関係者の意見や各自治体の検討状況を取りまとめた上で、平成三十二年度以降、できる限り速やかに各自治体に対しまして適切に情報発信をいたし、各自治体がそれぞれの実情に応じた対応をしていただくことができるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○山田(宏)委員
以上で終わります。ありがとうございました。