○山田(宏)委員
おはようございます。今日も、自由民主党・国民の声を代表いたしまして、日本国の尊厳と国益を守る立場から質問をさせていただきたいと思います。
貿易協定のテーマでございますけれども、貿易の前提、安全保障でございまして、そのことについてお話をお聞きしたいと思います。
まず、ちょっとGSOMIAが、この破棄が延期というか、なったわけですけれども、その日韓の合意内容について、お互いいろいろとそごがあるようですけど、これ、文書で取り交わしているはずなんですね。なので、正確にどういうところが合意されたのかということを、その文書に基づいて御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君)
韓国政府によります日韓GSOMIAの終了通告、提出する旨の通告について、日本政府としては、北朝鮮問題等への対応のため、安全保障上の日韓、日米韓の緊密な連携が重要であると考えておりまして、現下の地域の安全保障環境を踏まえ、韓国政府としても、このような戦略的観点から今回の判断を行ったものと受け止めているというふうに思います。
なお、輸出管理の見直しに関する発表の詳細につきましては主管省庁である経済産業省にお尋ねいただきたいと思いますが、二十二日、同省は、韓国側からWTO紛争解決手続を停止をすると、こういう通報があったことから、輸出管理政策対話を行うこととした旨の発表をしたものと承知をいたしております。
日韓双方の発表について、様々な指摘があることについては承知をいたしておりますが、いずれにしても、二十三日に日韓の外相会談を行ったところでありまして、前の晩に、康京和、韓国の外交部部長、このG20の外相会談に来るということが決まりまして、二十三日に行ったんですが、そこで一致したことは、輸出管理政策対話の再開について、有意義な対話となること、これを期待しているということでありまして、言っていることに違いがあるどうということよりも、これから協議していくということが重要なんだということで、韓国の外相との間では一致をいたしております。
○山田(宏)委員
外務大臣が認識されているというところの点で構わないんですけれども、報道では、韓国側は、GSOMIAの破棄を見送る条件として、日本側のやった輸出規制の厳格化を日本側も見直すということが対案としてなっているということですけど、そういうことではないんですよね。
○国務大臣(茂木敏充君)
そのようなことではないと理解をいたしております。
○山田(宏)委員
ありがとうございました。
この、今回に至った経緯は、アメリカの大きな圧力と日本側の毅然たる態度というものが一つの結果をもたらしたものと大変評価をしております。これからも是非そういった姿勢で頑張っていただきたいと思います。
それでは、この間私が質問させていただいた点について、お聞きをさせていただきたいと思います。
スパイ容疑で九月に拘束をされました北大教授が、十一月十九日、無事解放され、帰国しました。安倍総理、茂木外相、そして外務省の努力を多としたいと思いますが、なぜ急転直下、中国政府は解放に応じたのか。今までそんなことなかったですよね、要求してすぐ解放というのは。
私は、十一月七日の本委員会でこの問題厳しく追及させていただきました。習近平主席が国賓として来日されるということについても異を唱えました。佐藤委員も異を唱えました。今回も、この中国政府の恣意的な、そして不透明、不当拘束に怒っているということも明らかにして国民世論に訴えたいと、こういう思いでございました。
政府は、これまで中国での邦人拘束事案には、その具体的な内容をほとんど明らかにしてきませんでしたが、むしろ事案の不透明さ、不可解さ、不当を明らかにした方が、国会や世論の後押しも生まれて、この政府間交渉も有利に進められるという面もあるんじゃないかと、こう思うんですね。
これまでの事案、今回帰ってこられたわけですけど、これまでもスパイ容疑で拘束をされているという日本人、どういった今状況にありますか。その数字等をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(水嶋光一君)
お答え申し上げます。
日本政府といたしましては、中国での一連の邦人拘束事案につきまして、二〇一五年以降合計十四名の事案を公表してきておりまして、そのうち五名は既に解放され、日本に帰国をしてございます。 それ以外の九名につきましては、いずれも国家秘密の窃取等、国家の安全に危害を与えた罪で既に有罪判決を受けております。判決の内容は、最も長い刑で懲役十五年、最も短い刑では懲役三年、加えまして個人財産没収の最高額といたしまして五十万元、最も低い額として三万元であります。九件のうち七件については既に刑が確定をしておりまして、二件は上訴中というふうに承知をしております。
政府といたしましては、邦人保護の観点から、引き続き領事面会あるいは御家族との連絡などできる限りの支援をしてきておりまして、今後とも御家族の心情を踏まえつつ最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。
○山田(宏)委員
それぞれの方が拘束されたときには、その事由も何の法律に抵触するかもほとんど明らかにならないまま、裁判が行われて判決が出て、有罪が確定した人が七名、二名が控訴中ということで、拘束中ですね、九名が。
このそれぞれ、この判決が出た方々の行為が何の法に抵触して、どのような行為がそれに当たったのかという、その判決内容について伺いたいと思います。
○政府参考人(水嶋光一君)
各公判につきましては、実は判決文を書面で入手することができないという状況にございます。ですから、いかなる行為が国家の安全に危害を与えた罪となるのかにつきましては、必ずしも全容を把握できているわけではありませんけれども、いずれも国家秘密の窃取等国家の安全に危害を与えた罪で有罪判決を受けているというふうに承知をしております。
○山田(宏)委員
驚きですよね。判決文が手に入らないと。一体何の法律でどのような行為がそれに抵触したのかというのが分からないまま九名の邦人がいまだに拘束されていると。これ不当拘束じゃないですか。不可解で、そして不透明と、こういった事態、我々から見ればですね、こういう不当な拘束だと、こういうふうに私は考えておりますけれども、どうお考えですか。
○政府参考人(水嶋光一君)
政府といたしましては、邦人拘束事案につきまして、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、総理、外務大臣を始め様々なレベルや機会を通じて中国側に前向きな対応を求めてきております。
加えまして、そもそもどのような行為が違法とみなされ得るのかということについて明らかではないということを踏まえまして、中国側に対しては関連の情報提供をこれまでも求めてきておりまして、今後ともそういう働きかけを続けてまいりたいというふうに思っております。
○山田(宏)委員
私は不当な拘束だと思いますし、日本政府はそう取って、やはり強力、強烈に解放を要求するという私は義務があると思うんです。それは、我々の同胞ですよ、皆さんの家族かもしれないんですよ、とんでもないことじゃないですか、これ。
これまでも強力にこの要求はしてきた。しかし、要求をして帰ってくるということはもうめったにないと思うんです。やはり、一つの帰ってくる方法は、向こうが要求した要求をこちらがのんで、だから返してくれと、こういう交渉もあり得るかもしれない。しかし、こんなことはやっぱり正義に反しますよね。そうすると、やっぱり、向こうが人質を返さざるを得ないようにやっぱり仕向けていく、こういうことが非常に大事だと思うんですね。やはり、このまま解放しないとまずいぞと、こう思わせるということが非常に大事だと、こう思っておりまして、今、米中の対決状況、国際世論が、香港を含めて、中国の人権状況への非常に強い懸念、こういった中で、私は、この間も申し上げたとおり、今回このこういった事案、不当な拘束が続いているにもかかわらず、何で国賓として習近平国家主席を招待しなければならないのか。招待して、国賓じゃなくて、いろいろ話し合うことは大事ですよ。この間外務大臣もおっしゃいました。いろんなルートを持って、来日されて、いろんなことを話し合っていくことは大事だ。しかし、何で国賓で、そして天皇陛下がにこやかに握手をして、晩さん会やって、そしてまた、儀仗兵が閲兵、儀仗兵の閲兵をする、こんなことまで待遇をするような環境なのかと、非常に疑問だと思っているんですけれども、この点についての外務大臣のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君)
拘束されましたあの北海道大学の教授の解放に関しましては、王岐山国家副主席が訪日された折、即位の礼の際、私から二回にわたって、この問題の早期解決、こういったことを求めたところであります。総理も同じような働きかけをされて早期の解決につながったと思っておりますが。
日中両国の間には、御指摘のような邦人の拘束案件を始め、様々な懸案が存在しておりますが、それらを解決していくためにも、両政府のハイレベルが大局的な観点から率直に議論して中国側に前向きな対応を促していくことが大切だと考えておりまして、来春の習近平国家主席の訪日に向けて更に日中間ハイレベルでの意思疎通を積み重ねて環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○山田(宏)委員
終わります。