○山田(宏)君
おはようございます。自由民主党の山田宏でございます。本日も、日本の尊厳と国益を守るという立場から御質問をさせていただきます。
今回、今日の条約、租税条約又は投資条約、セルビア、ジョージアと挙がっておりますけれども、これ自体はもうしっかり進めていただきたいということですが、念のため、これまで日本国が結んだ租税条約、また投資協定、何か国ぐらいと結んでいるかということだけお願いします。
○政府参考人(四方敬之君)
お答え申します。
我が国は、七十九の租税関連条約等、この中には租税条約、租税情報交換協定、税務行政執行共助条約及び日本と台湾の民間租税取決めを締結しておりまして、百四十三か国・地域に適用されております。
また、投資協定でございますけれども、我が国は、投資協定及び投資章を含む経済連携協定を合わせまして五十四本の発効済み又は署名済みの投資関連協定がございまして、七十九の国・地域をカバーしております。これに現在交渉中のものを加えますと、九十四の国・地域をカバーすることとなります。
○山田(宏)君
しっかり日本の企業や人々がお互い、相互にきちっとしたルールの下で経済活動ができるように進めていただきたいと思います。
それでは、せっかくの機会なので、今日は慰安婦像と河野談話についてお尋ねをしたいと、こう思っております。
ドイツのベルリンとドレスデンで慰安婦像の設置が行われました。皆さんにお配りをしている資料は、これはベルリン・ミッテ区の慰安婦像でいまだに残っておりますけれども、ここに日本語訳、御覧いただいたとおり、第二次世界大戦中、日本軍は数え切れない数の少女、女性をアジア太平洋地域から拉致し、強制的に性奴隷にしましたと。
このようなものというのはグレンデール等でも似たような内容で、二十万人以上の女性がと、数が入っていたりしております。
こういったうそが世界中に喧伝をされているということで、現在、世界、韓国を除いて世界に何体この慰安婦像が設置されていると確認をしておりますか。
○政府参考人(曽根健孝君)
お答えいたします。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツといった第三国に設置されている慰安婦像のうち公有地に設置されている像につきましては、現在、アメリカに三体、ドイツに二体と承知しております。
このほか、私有地に置かれている慰安婦像につきましては政府として網羅的に把握することが困難ではございますが、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツの幾つかの都市の韓国人会館や韓国系企業等の私有地にも設置されているというふうに承知しております。
○山田(宏)君
じゃ、私有地のものは把握はしっかりできていないということですが、できるだけ把握をしていただくようにお願いをいたします。
さて、最近の例ではベルリンとドレスデンであります。この問題については、是非早期の撤去を外務省として要請をしてくれということで、いろいろと現地の大使館を中心にやっておられると聞いておりますけど、現在の状況はどうなっているのでしょうか。
○政府参考人(曽根健孝君)
お答えいたします。
ベルリン市ミッテ区の公道上に設置された慰安婦像につきましては、昨年十月にミッテ区長が像の撤去命令を出したのですけれども、その後、昨年の十二月に区長がこの撤去命令を撤回したことにより、像設置許可は、その設置されてから一年後、すなわち本年の九月末まで有効な状況になっております。
また、ドレスデンの州立博物館における慰安婦像につきましては、四月十六日から八月一日までの期間、言葉も出ないという展示の一環として一般展示が行われている状況であります。四月二十四日から五月二十一日までは新型コロナウイルス感染拡大のため閉館しておりましたが、現在は同博物館の入館者のみが見られる状況が継続しております。
政府としましては、在ドイツ日本大使館から、連邦政府、州政府、ミッテ区役所、ドレスデンの州立博物館を含め、様々な関係者に対し我が国の立場について説明し、強い懸念を伝えるとともに像の速やかな撤去を求めているところでございます。
○山田(宏)君
ベルリンのときには茂木大臣もしっかり相手の外務大臣に要請をしていただいたと、こう認識をしておりますが、この、こういった碑文にあるようなうそですね、こういったものが全世界にばらまかれるその源流となっているのは、もう明らかに一九九三年、平成五年八月四日のいわゆる河野談話に基づくものだと考えております。
もうどこでもこの河野談話が引用されております。
この河野談話なんですけれども、日本文を読めるのは大体日本人しか読めないんですけれども、主に海外の人は英語、英文を読んでおります。その英文と日本文を照らし合わせてみると、幾つか首をかしげる英訳がございますが、そのうちの一つが、日本文で言いますと、皆さん方にお配りをしておりますけれども、この慰安婦の募集について、真ん中辺りに、「その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更にに、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」
日本語では官憲等となっているんですけれども、英文を御覧いただきたいと思いますが、英文は、アドミニストレーティブ/ミリタリー・パーソナルと書いてありますね。つまり、行政官と軍人が直接関与、直接ですね、募集に関与したと、こう書いてありますよ。これ、日本文には軍人と書いていない。碑文は、韓国がばらまいている碑文は、軍による、日本帝国軍による、日本軍による、で全部軍が付いている。
我々は直接加担したとは考えていないわけなんですけれども、日本語では官憲等と書いてあるんだけれども、英文ではミリタリーと書いてある。
これは意図的な誤訳なのか、不適切だと思うんですけれども、この辺、英語の堪能な外務大臣、どうお考えになられますでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君)
御指摘の一九九三年の官房長官談話におけます官憲等と、ここの中には軍人、巡査などを指すとの整理が談話発出当時からなされておりまして、軍人も含まれることについては対外的にも明らかにしてきたことであります。このため、御指摘の英訳が誤訳とは言えないと考えております。
○山田(宏)君
誤訳とは言えない。
しかし、安倍政権のときに、この四枚目なんですけれども、いわゆる河野談話の作成過程についての検証が行われております。その報告書が二〇一四年の六月二十日に出ておりまして、それを読みますと、要は韓国と日本がこの河野談話の策定に当たって十分すり合わせをしてきた、そして韓国側の主張はこうだった、日本側の主張はこうだった、その結果、こういうところで折り合ったと、ずっと書いてあるわけですが、主に韓国側とのやり合ったテーマは、ここに、十一ページの④に書いてあるように、慰安婦の設置に関しての軍の関与、慰安婦の際の、募集のときの軍の関与、それから強制性、この三つが大きなテーマだったわけです。
特に、慰安婦募集の軍の関与については、ここに書いてあるように、韓国は軍が直接指示をして、又は軍が直接関わったんだと、こういうことを主張して、それを書けと言っているわけです。しかし、日本は直接というのはない、要請をしてきたんだ、要望をしてきたんだと、軍は事業者に、民間業者に。で、要望してきたということで、それは受け入れられないと、こう言ってきたんです。
韓国は直接関与を求めてきた、日本は、間接的に民間業者に要請をしてきた、こう言って、結局要請という言葉で落ち着いたと、この検証過程では言っています。
つまり、この英文を読むと、ミリタリー、つまり軍人が、ダイレクトリー・トゥック・パート・イン・ザ・リクルートメンツと書いてありますね。
ダイレクトリーですよ、つまり直接募集に関与したと書いてあるわけです。これは、河野談話の検証過程、また河野談話が作られたこの考え方からいうと違うんじゃないですか。軍が直接募集、慰安婦の募集に関与したということは、日本はずっと否定し続けたわけですね。そして、その結果、要請ということに落ち着いたわけですけれども、これは間接的な関与はしたかもしれないけれども、直接関与はしていないと日本は言って、その下で書かれた河野談話だと、こういうふうにこの検証過程もあったし、それからその前の石原信雄元官房副長官もそのように証言をしているわけです。
そうすると、この英文はやっぱり間違いじゃないかと。こういった検証過程を見ていても、直接リクルートメンツに、募集に関与したということは、軍というのを書くのは誤りじゃないか、こういうふうに考えておりますが、改めて外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君)
御指摘の点は理解いたしましたが、先ほどお示しいただいた二ページ、見てみますと、ラインマーカー引いていただいております官憲等がから始まる部分でありますが、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになったと、この表現と英語の表現にそごがあるということはないと思っております。ただ、検証の結果から見て、この表現、日本語も含めたこの表現がどうだと、この議論はあるんだと思います。
○山田(宏)君
まあ、日本語として官憲等の中に軍が入るかということについては、私はここで英訳をわざわざミリタリーと入れる必要はないと。なぜならば、その後の文章がダイレクトリーと書いてあるわけですね、直接関与したと書いてあるわけですから、やはりこのミリタリーという言葉は不適切だと、こう考えます。
そこで、さらに、この河野談話の検証過程を見ておりますと、結局、このように韓国と日本がやり合った結果、五ページ目、河野談話ができましたと。そこに書いてあるとおり、日本は一連の調査を通じて得られたいわゆる強制連行は確認できないという認識に立っておりました。強制連行は確認できていない、強制連行の証拠は一切なかったというのが日本の立場でありました。
しかし、その次のページ、六ページになりますと、これは安倍内閣が出した検証過程の文章ですけれども、(6)に、強制性、これも韓国との一応、一応ですね、一番問題になったことなんですが、認識に関して、河野官房長官、当時ですね、同日行われた記者会見に際し、今回の調査結果について強制連行の事実があったという認識なのかと記者から問われ、そういう事実があった、結構ですというふうに述べている。
河野談話は強制連行はなかったという日本側の認識によって作られたのに、当の河野官房長官、強制連行はあったと記者会見で答えている。これ、河野官房長官、間違った答弁じゃないですか。まず、官房来ていただいているので、内閣官房、どうですか。
○政府参考人(安中健君)
一九九三年の官房長官談話につきましては、委員御指摘のとおり、いわゆる強制連行は直接確認できないとの認識に立って、事実関係ゆがめることのない範囲で文言調整の結果作成されたものということでございます。
その上で、その後のその記者会見におきまして当時の官房長官が今委員御指摘のような発言がされ、こうした発言や、あるいは、その当時、大手新聞社が報じていました吉田清治氏の証言によりまして、あたかも強制連行があったかのような、事実に反する認識が国際社会に広まっているということにつきましては問題であるというふうに考えております。
○山田(宏)君
これ、安倍内閣が出した報告書ですからね。何でこの(6)を付けているのかですよね。やはり、河野談話は強制連行はなかったという認識の下で作られたと、しかし、河野官房長官は記者会見で突然強制連行はあったと認める発言をしたということが問題だという意識で、これ、報告書出ているはずなんです。
内閣官房は作った本人でしょう、これ。あなたじゃないよ、もう一九九三年のとき。作ったのは内閣官房で、外務省じゃない、この河野談話。これ、河野さんのこの記者会見の答えは本来の河野談話の趣旨とは違うということを言わんがためにこの報告書はできているんだから、あなたもちゃんと答えないと。この当時の河野官房長官のこの答えは誤っていますと、河野談話。誤っているかどうか聞いているんです。経緯を聞いているんじゃないので、一言お願いします。
○政府参考人(安中健君)
この会見での発言につきましては、先般も加藤官房長官の方から予算委員会で御答弁ございまして、「あたかも強制連行があったかのような、事実に反する認識が韓国を始め国際社会に広まってしまったわけであり、その点は極めて問題だというふうに考えております。」というふうに御答弁されているところでございます。
○山田(宏)君
最後に茂木大臣に、外務省が今、ドイツでも最前線に立ってやっておられるわけ、日本の名誉を守るために。やっぱり、この河野さんのこの記者会見の返答というものが大きな誤解を与えたという認識はございませんか。
○国務大臣(茂木敏充君)
御指摘の記者会見であったり、その後の朝日新聞が報じていた吉田清治氏の証言と、これによって、あたかもなかったことがあったように韓国であったりとか国際社会に広まってしまった、このことについては問題であると考えております。
○山田(宏)君
終わります。