○山田(宏)委員
おはようございます。自由民主党の山田宏でございます。本日も、日本の尊厳と国益を護るるという立場から質問をさせていただきます。
まず、今回上程をされております三件の議案につきましては、国際化の流れの中で当然のことだと考えておりますので、これについては賛同させていただきます。
そこで、短い時間でございますけれども、何点か質問させていただきますが、昨日今日の新聞で、これ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う入国制限の緩和ということについて記事が載ってございました。
今朝の記事でも、この検討をしておりまして、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの四か国について、今夏に一日最大二百五十人程度のビジネス関係者に入国を認める方向で調整をしているということでございます。
先日、松川るい委員の方からも資料がございましたけれども、その資料を見ても、確かにこの、先日外務大臣からも御答弁がありましたけれども、選び方についてはですね、しかし、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、分かりますけれども、何で人的交流も多い、経済関係も強い台湾が入っていないのかということは、どうしても疑問なんですけれども、台湾については検討はされていないんでしょうか。それとも、これからなるべく早くそういった入国制限を解除していくという流れなんでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君)
先日もお答えをしたと思うんですが、どこかの国をもう決めたと、そういう発言はしていないと思います。
まず、国内におけるコロナの感染を終息していくことが重要でありますし、同時にそこの中で、どういった形で、今、他国も人の往来の再開に向けて動きをやっておりまして、世界各国での感染の状況であったりとか、また各国の動向を見極めながら今後のことは考えていきたい。
その中で、基本的な考え方として、一遍に開けるということではなくて段階を踏んで開けていくと。人においても、例えばビジネス上必要な人材であったり専門人材、こういった方から始め、その次には恐らく留学生であったりとか、そして最終的には観光客も含めた一般の方々と、こういうステップを踏むことになるんでしょうと。国についても、一遍に開けるというよりも感染が収まりつつある国から開けていくということで、幾つかのお話がありましたので、ベトナム等については感染は確かに収まりつつある、こういう話をさせていただきましたが、明示的にこの国は開けます、この国は開けません、この地域は開けませんと、そのようには申し上げておりません。
○山田(宏)委員
この間、松川るい委員の資料を見ましても、台湾、オーストラリア、これ両方とも二千五百万人ぐらいの人口なんですね。台湾は、感染者数四百四十二人で死者数が七人。オーストラリアは、同じ人口なのに、七千百九十二人で死者数は百三人。しかし、オーストラリアは段階的に開けていく対象にもなっていると、ずっと新聞報道ではなっております。
そんなことも、私は、やっぱり近くで、また非常にうまくこの今回の感染症の対応を上手にやってきた台湾については、我が国との深い関係を考えても是非検討対象に入れてほしいと、こう要望して、この質問は終えたいと思います。
さて、次に尖閣諸島について御質問申し上げます。
尖閣諸島に中国の公船が毎日接続水域又は領海侵犯しております。六月十一日、昨日までで五十九日連続入ってきたということで、五月八日から十日にかけては執拗に日本領海の中で日本漁船を追尾したという事件が起きました。追尾ということは過去四回ございましたけれども、今回はちょっと質違うんじゃないかと。昨日、衛藤大臣も答弁していましたけれども、二時間も追尾すると、やるというのはなかった。それから、二十六時間も領海内にいるというのもなかった。それから、外務省が当然抗議しているわけです、すぐ。抗議したにもかかわらず翌日もやっているという、こういうことはあったんですかね、外務省の抗議を無視してやっていく。
それから、中国側は五月十一日にコメントを出す。これは、コメントといっても、質問を受けてコメントを出して、我が国も出しましたよ、我が国も出しましたけれども、この中国のコメント、中国側の報道官のコメントは、要は、中国は自分の領海内で当然の、違法な操業をしている日本漁船に対して当然の法執行をしたんだと言っている。
つまり、領有権だけではなくて施政権も、施政権もですよ、これは中国があたかも行使しているかのような、国際的な宣伝に使っているわけですよ。
私は、少しこの尖閣諸島への中国公船の在り方というのはフェーズが上がったんじゃないかと思っているんですけど、外務省の捉え方はいかがでしょう。
○政府参考人(遠藤和也君)
お答え申し上げます。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって国際的な協調、連携が必要な中、尖閣諸島周辺海域において中国公船による接続水域の航行、それから領海侵入が継続しているということは極めて遺憾でございます。
御指摘の事案に関して申し上げれば、事案発生直後に中国側に対して厳重に抗議し、日本漁船への接近、追尾を直ちにやめ、速やかに我が国領海から退去するよう累次にわたり強く求めたという次第、御案内のとおりかと存じます。
引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くという決意の下、中国側の動向について情報収集に努めつつ、関係省庁とも緊密に連携しながら、冷静かつ毅然に対処してまいりたいと考えておるという次第でございます。
○山田(宏)委員
ちゃんと質問に答えなさいよ。フェーズが上がったと考えているんだけれども、外務省の捉え方はどうかと聞いたんです。そんなこと知っていますよ。的確に。
○政府参考人(遠藤和也君)
お答え申し上げます。まさに、今回の事案というのは極めて遺憾な事態ということでございまして、そういうものとして捉えておるという次第でございます。
○山田(宏)委員
外務大臣、お聞きしておきたいんですけれども、認識ですよ。
今回の中国公船の在り方というのは、これまでの形とはちょっとフェーズが変わってきたんではないかと認識をしているんですけれども、外務大臣の捉え方はどうでしょう。
○国務大臣(茂木敏充君)
新型コロナが世界的に今拡大をして、今、国際的な連携、国際社会の連携、協調が必要な中で、この東シナ海における問題もそうでありますし、様々なところで中国によります現状変更の試みというのが行われると、中印国境でもそうなんですけれど、中国が取るのはサラミ戦略なんですね。基本的には一つ一つ現状をつくり、またそれを、何というか、事実にしてしまう、こういうサラミ戦略を取られないようにしっかり対応していくことが必要だと思っています。
○山田(宏)委員
お答えにならないわけですけれども。
フィリピンでは、報道によりますと、南沙諸島で、スプラトリーで自分の施政権にある島に船着場を造ったというニュースが出ておりました。日本も、中国側から見れば、領有権だけではなく、日本の施政権に対して、一歩も二歩もまた自分の施政権の範囲なんだと、こういう対応をしてきているわけですから、日本もやはり自分の施政権がちゃんとあるんだということを国際社会に、単に付いて回って受動的に彼らが来たらそれを追い返すということだけではなくて、きちっとそういった目に見える形のあかしというものをつくる、又は動くべきじゃないかと思っているんですけれども、その点についての認識はどうでしょう。
○政府参考人(遠藤和也君)
お答え申し上げます。
引き続き、我が国の領土、領空、領海、断固として守り抜くという強い決意の下で、関係省庁とも緊密に連携しながら、様々な点につきまして総合的に勘案しつつ検討してまいるという次第でございます。
○山田(宏)委員
もう答えなくていいから、次から。もうそんな書いたものを読んでいたら駄目だよ、
そんなの。質問しているんだから。外務大臣、どうでしょう。
○国務大臣(茂木敏充君)
先ほど私、明確にお答えしたと思うんですけれど、要するに、サラミ戦略という言葉を使いました。現状を変更して一つずつステップを踏んで新しい事実をつくっていく、こういう段階にあるんで、それを避けなくちゃならないということで、私は明確にお答えしたつもりですけど、全くお答えしていないと言われると、それは違うと思います。
○山田(宏)委員
フィリピンは、そういう船着場を造ったりしていますね。自民党は、二〇一二年の選挙のときには尖閣諸島に公務員を常駐させると書いていましたね、公約で。それ、いつからどうなったのかよく分かりませんけれども。
私の申し上げているのは、我々がちゃんと施政権を行使しているんだという何らかのやっぱり行動なり対応というのを取るべきで、それが単に向こうが来たからこうするというものではもうフェーズが変わっているのではないかと考えているわけです。
その中の一つとして、やはり、これは佐藤委員も主張されて、自民党の中でも主張されていますけれども、やはりそのまま何かを造るというのは難しいと思いますよ、今は。だけれども、尖閣諸島の周辺というのは、一九七二年から魚釣島は何の調査も行われていないわけです。ヤギもいる、センカクモグラ、センカク何とか、まあいっぱいそういう希少生物もいる。海洋の状況も分かっていない、気象も。ああいったことを考えると、一回こういうものについて日本が主導して海洋、自然生態系の調査なんかを実行してみるというのも一つの手だと思うんですね。そういうところに、もちろん国際的な研究団をつくる必要があると。日本だけでやる必要はないと。もちろん、中国の研究者も入れていいでしょう。
そういったようなことも、知恵を出して、少しずつ少しずつこちらもサラミ戦略したらどうですか。そういう提案。あっ、もういい。答えるのは横で。
○国務大臣(茂木敏充君)
それはサラミ戦略じゃないんです。やるやり方として、そういうのはサラミ戦略とは言わないと思いますけれど。
いずれにしても、山田委員の御意見というか考え方はよく理解できるところはあります。関係省庁ともよく連携をして、どんなことをすべきかとよく考えてみたいと思います。
○山田(宏)委員
お願いします。
次に、香港の問題で国家安全法についてお聞きをしておきたいと思います。
五月二十八日に国家安全法が全人代で議決をされて、日本側は深く憂慮するというコメントを出しました。そして、六月十日の衆議院の予算委員会で総理も答弁をされて、香港の問題についても、一国二制度ということを前提にしっかり考えていくということにおいて、日本がG7の中において声明を発出していくという考え方の下にリードをしていきたいということなんです。
ちょっとお伺いしておきたいんですが、日本側は、何を深く憂慮して、どんな声明を出そうと、どんな声明であるべきだというふうにお考えなのか、現在の時点でどういうお考えを持っているか、お聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君)
日本の香港に対する考え方でありますけれど、一国二制度の将来、これは香港と密接な経済関係、人的交流を有する我が国にとっても重要でありまして、一国二制度の下に自由で開かれた体制が維持をされ、香港が民主的、安定的に発展していくことが重要である、これが我が国の一貫した立場であります。
本件については、基本的価値及び考え方を共有するG7での取組、これは重要だと考えておりまして、私自身、先日来、イギリスのラーブ外相であったりとか、またフランスのルドリアン外相、ちょうどコンゴに行って、コンゴからフランスに帰った日に電話会談をしたいといった形で、香港情勢に対する深い懸念というものを共有して、連携を確認したところであります。
共同声明、仮に出す場合にどういう内容になるかと。これはまさに各国間で詰めていくということでありますが、そこの中に込められる基本的な思いは、今私が冒頭に述べたような内容になります。
○山田(宏)委員
じゃ、憂慮しているというのは、やっぱり一国二制度というものが揺らいでいくんじゃないかということを憂慮しているということですよね。
○国務大臣(茂木敏充君)
一国二制度、こういったものがしっかり維持をされ、そして香港が民主的、安定的に発展していくことが重要だと。そうならないことであったら、それは憂慮すべき事態だと考えております。
○山田(宏)委員
つまり、この香港国家安全法というのは、そういったことが懸念されているということで各国が問題視しているわけですね。
しかし、これは中国政府から見ると、実はこれは一部の分裂主義者とかテロをやるやつをしょっぴくために作ったのであって、これは一国二制度を安定化させるものなんだと言っているんですが、そういう中国側の主張に対してはどうでしょう。
○政府参考人(遠藤和也君)
お答え申し上げます。
中国側は、先生おっしゃられるとおり、まさに内政の問題であるというような主張をしておるというところではございますですけれども、一国二制度の問題というのは我が国にとっても重要かつ重大な関心事でございます。そうした観点から今まで我が国の立場を申し上げてきているというところでございます。
○山田(宏)委員
G7で是非日本がリードしてと総理はおっしゃっているわけですね。日本が主唱して、リードをしてやっていくんだと。
日本は、自由で開かれたアジア太平洋構想というのを安倍総理が主唱して、今、トランプさんも言うようになりました。我々、自由で開かれたアジア太平洋をつくるんだと世界に呼びかけているわけですから、当然、香港問題は我々にとっては試金石なんですよ。これに中途半端な態度だと世界に思われたら、こんな構想、誰も信じません。
私は、そういったことで、G7、日本がそういう意味ではリードをしてもらうというのはすごくいいと思うんです。
そこで、ここでリードしていくということで、いい声明が出てほしいと思うんですね。憂慮を超えたものが必要だと思うんですが、そういった中で、どういう声明、ちゃんと成功させた上でこの声明を発表するということは、日本にとっては一つのまた大きな試金石になってくると。それはどういう意味かというと、この共同声明が出た場合、それに中国政府がどう対応するかによっては、これは、声明に反するようなことをやれば、それは習近平国家主席の国賓来日なんてないですよ、それは。そうですよね。ですから、そういった意味では、G7での共同声明というのは極めて重要な位置付けにあると。我が国のスタンスというものを明確にしていくという意味では是非やってもらいたいんですけれども、私は、そういった姿勢で臨んでいき、日本の立場というものを明確にするいいチャンスだと思います。
その上で、私は、まあ尖閣の問題も変わらない、邦人拘束も何も変化ない、むしろ、どんどん悪くなっている。香港もウイグルもチベットも、みんな懸念している人権問題は何にも解決しない、もっと悪化している。これで何で国賓来日なんですかね。何でそんなことをやる意義があるのかと。もう国民誰も分かってないですよ。これは、ハイレベルで話す必要があるんだと言うけど、そんなの、テレビでやりゃいいじゃないですか、テレビ会議で。で、どこかの会議に行ったときに、二国間で会ってやればいいんですよ。我々も、天皇陛下が御招待してやるような話じゃないですよ。
私は、そういうことを考えますと、今回のG7の、外相声明になるのか首脳声明になるのか分かりません、難しい国も入っておりますから。是非成功させて、ここは、茂木外務大臣、大変な手腕を持っているわけですから、日本の立場を明確にしてほしいと考えておりますけれども、その点についての御所見を伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君)
御趣旨はよく分かりました。
G7含め国際社会、どういう枠組みで我が国の立場を関係国、価値観を共有、協力する国々と一緒に発信していくか、しっかり対応したいと思います。
○山田(宏)委員
ありがとうございました。