○山田(宏)君
自由民主党の山田宏でございます。
コロナ感染症が広がり始めた昨年四月、初めての緊急事態宣言が発せられる前に、千葉県は、約三十億円を掛けて幕張に一千床のプレハブのコロナ専用臨時病棟の早期設置を計画しました。しかし、医師法など医療関係法令で、医師や看護師の確保がお願いベースで困難であり、また、基礎のないプレハブ病棟設置は三か月間しか認めない建築基準法、酸素の取扱いを定める消防法などの数多くの法令に阻まれ、期待していた二週間以内での設置ができず、五月末に計画の断念に追い込まれました。
もし、この臨時病棟の設置が早期にできたとしたら、全国的にも同様な試みが生まれ、パンデミックへの対応も違ったものになったと思います。
これは、非常事態でも相変わらず平時のルールを適用せざるを得ない、国家としての日本の根本問題を示す一事例であります。もし、他国のように、それぞれの諸法令に非常事態時のルールがしっかり定められていれば、救えたはずの多くの国民の命を救い、国民経済の長期間にわたる打撃を回避できたんではないかと大いに悔やまれます。
憲法における緊急事態条項は不可欠であります。
今回のようなパンデミックに対し、憲法に基づき、政府が非常事態のスイッチを入れれば、全ての法令が非常事態のルールに変わり、速やかに国民の生命や生活を守る手だてを講じることができたはずであり、現憲法にはその規定がないために、国民の命や生活に大きな犠牲を強いることになりました。憲法審査会は、今般の反省を基に、速やかに現憲法への緊急事態条項の導入を議論を開始すべきであります。
直近の世論調査によりますと、五月二十八日から三十日、日経新聞によりますと、憲法改正の具体的論議をすべきかという質問に対して、そうだと、すべきだと答えた国民は七七%に上りました。
また、すべきでないという国民は一四%でございます。一か月前の同じ調査に比べて、この比率、大きく変わっております。前の、イエスと答えた人は増えておりますし、ノーと答えた人は減っております。
憲法改正に反対ならば、議論の中で堂々と反対すべきであります。改正に反対だからといって議論すらしないのは、賛成する国民の声を国会から封殺し、改正手続を定める憲法九十六条をなきものにするに等しく、立憲主義にこれこそ反する暴挙であると考えます。
憲法審査会が緊急事態条項導入の是非についての議論を速やかに開始することを強く希望いたします。
以上です。