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当記事は、2016年10月20日 外交防衛委員会についての議事録を転載しております。掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載はご遠慮下さい。

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2016年10月20日
外交防衛委員会における山田宏と外務大臣との質疑応答全文
○山田(宏)委員

 自由民主党の山田宏でございます。今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私からは、ユネスコにおける世界の記憶、いわゆる記憶遺産事業について何点かお聞きをしてみたいと思っております。
 まず、日本政府の今年の拠出金約四十四億円、これがまだユネスコに支払が留保されているということでございました。ユネスコのこういった分担金の支払留保ということがこれまであったのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。

○岸田国務大臣

 御指摘のユネスコの分担金、そして任意拠出金の支払ですが、一年の中でこの時期まで支払が行われていないという例は、過去にはあったとは承知しておりません。

○山田(宏)委員

 過去に例のないことだということでございますが、まあ今、いわゆる南京事件の登録ということが二〇一五年に行われて、このことがいかに不透明で、また公平性を欠いたものではないかという議論が起こって、この登録事業については少し改定すべきだということでユネスコの方も決定をしたと聞いております。
 そのいわゆる世界の記憶の登録の改革というものが今進行中であるということを考えてみますと、今回のこの留保というもの、やはり私は適切な判断だと考えておりますけれども、なぜ留保をされているか、お聞きをしたいと思います。

○岸田国務大臣

 我が国としましては、あくまでもこの世界の記憶事業が加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨そして目的を推進するものになるよう、同事業の制度改善に取り組んでいます。こうした取組は今しっかりと働きかけを行い、努力をしているところです。
 そして、一方、この分担金及び拠出金の支払のタイミングについては、我が国としまして総合的な判断をしてまいりたいと考えております。

○山田(宏)委員

 この世界の記憶遺産登録事業の制度改善が今行われている最中だということでございますけれども、また改めて、なぜこの改善が今行われているのかということを簡単に御説明いただければ有り難いと思います。

○岸田国務大臣

 そもそもユネスコの事業というのは、加盟国の友好と相互理解の促進ということを目指すというものであると認識をしています。その中にあって、今の制度においては関係国との意思疎通が十分図れないなど様々な指摘があります。是非このユネスコの本来の趣旨に沿うような形で制度が運用されるように改善をお願いするべきではないか、こういった問題意識の下に働きかけを行っているということであります。

○山田(宏)委員

 この制度改善のきっかけになったのは、いわゆる南京事件の中国による申請と、それが、登録がいつの間にかというか、我々の知らないところで全部決まっていったという、こういう経緯があったと思うんです。ですから、関係国の意見も聞いてということをするのはユネスコの精神から見れば当然のことだと、こういうふうに考えております。
 今後この制度改善というものがユネスコにおいてどのようなスケジュールで行われていくのか、その点についても御説明いただきたいと思います。

○岸田国務大臣

 制度の見直しについては、明年四月に、各国や国際諮問委員会等の意見を踏まえた改正案がユネスコ執行委員会で審議される予定になると承知をしています。

○山田(宏)委員

 来年の四月にユネスコの意思決定をする執行委員会でこの改善案が議論となり、そして決定をされるかされないかということになるんだと、こういう御説明でございましたよね、はい。
 さて、九月十日の朝日新聞では、記事がありまして、このユネスコの世界遺産に、旧日本軍の慰安婦に関する資料の登録を申請した日中韓の民間団体が九日、九月の九日ですね、東京都内でシンポジウムを開いたと。来年の登録を目指している団体でございます。そして、このシンポジウムに、記憶遺産の登録の可否を決める国際諮問委員会の元委員で、現在は今のこの改善の見直し作業に関わっているレイ・エドモンドソンさんも出席と、参加と書いてあります。そして、この慰安婦の申請について、慰安婦の申請は今年行われているわけですけれども、現行のガイドライン、つまり改善前のガイドライン、南京事件を登録したときのガイドライン、このガイドラインに沿って判断する、これは公式指針に基づくと述べ、見直し後の判断基準は適用されないと明言されましたと、こういう記事が載っておりますけれども、この記事を外務省は把握をしておられるでしょうか。

○岸田国務大臣

 御指摘のシンポジウムについては承知しておりますし、このレイ・エドモンドソン氏がこのシンポジウムに出席をしたということ等、これについても情報を得ております。
 そして、その見直しとの関係で申し上げるならば、昨年十二月、ユネスコからは、既存のルールの下で新規申請案件を公募する旨、一旦発表はされました。しかしながら、これは、今年六月ですが、ユネスコが発表を行い、来年夏頃の国際諮問委員会の会合、先ほど申し上げました会合ですが、この会合においては、失礼、これは違った、この会合は要するに登録の申請について判断する委員会ですが、この委員会においては、来年四月の執行委員会、これが今申し上げました委員会ですが、この委員会においてのこの制度改善の決定に留意する、このように今年の六月発表されています。
 いずれにしましても、我が国としましては、新しい制度の下で審査が行われること、これが望ましいと考えており、引き続き働きかけを続けていきたいと考えています。

○山田(宏)委員

 ということは、この新聞内容、エドモンドソン氏の現行のガイドラインに沿って慰安婦の申請を判断するというのは、これはユネスコの公式の立場ではないというふうに認識してよろしいですか。

○岸田国務大臣

 このレイ・エドモンドソン氏ですが、御指摘のように、これは見直しグループ六名のメンバーのうちの一人であります。そして、今のこの発言の背景等についてはちょっと我々確認するすべはありませんが、いずれにせよ、ユネスコは公式的な発表を行って先ほどのような発言を明らかにしています。こうした留意をするということでありますので、今後の動きについては引き続きしっかりと注視していかなければならないと思いますが、我が国としましては、新しい制度での審査が行われることが望ましいと考えておりますので、その趣旨に従って働きかけは続けていきたいと考えます。

○山田(宏)委員

 この九月の九日の集会は、ユネスコ記憶遺産共同登録日本委員会というところが主催をしております。そして、ここは、日本軍性奴隷制を生き抜いた女性たちの証言を次の世代に残していきたいという思いの下、二〇一六年五月三十一日、韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、オランダ、東ティモールと日本の民間団体によって構成される国際連帯委員会と大英帝国戦争博物館が共同で、慰安婦の声というタイトルで二千七百点余りを共同申請している日本側の団体です。
 このユネスコというのは、どういう申請がなされたか、どういうものが登録されているかというのはなるべく全員がアクセスできるようにしていかなきゃいけないという、こういう精神の下にあると思うんですけれども、日本政府としては、この五月に、この南京の、南京じゃない、ごめんなさい、日本軍慰安婦の声というこの資料について、どんなものが申請されたのか把握をしておられるでしょうか。

○下川政府参考人

 ただいま委員から御指摘のございました共同委員会からの申請でございますが、彼らがこの申請を行う前に、五月三十一日にまさにこれから申請を行うという記者発表を行っておりまして、そこでおおむねその要点などは発表されているところでございます。
 他方、ユネスコの事務局に提出された後、まだ正式にそれが受理されたかどうかということについてはユネスコのホームページ上も発表されておりませんので、どういう文書がどういう形で申請、登録されたか、公式にはまだ確認されているところではございません。

○山田(宏)委員

 いや、一回載ったんですよ。ユネスコのホームページに八月三日、一回出たんです、これが。すぐ削除された。その出た内容、これを私は把握しているんですけれども、委員の皆様方にお配りをしております資料の二ページ目に幾つかの絵がございます。これ、かざしてよろしいでしょうか。資料。済みません。
 この資料の中で、こういう絵も出されているわけです。例えば、この右側のやつ。これは、「昭和天皇陛下を銃殺する絵」と。何で銃殺するのか。これは、慰安婦たちをレイプした罪だと、最高責任者だと。こんな絵を登録しようとしている。「私が拉致された日」、これは元慰安婦の人が描いた図です。それから、その下、慰安婦の方々をトラックに乗せて、日本軍が穴にこの人たちを入れて、生きたまま「焼かれる処女たち」と、こういったようなおぞましい絵数々を、南京と同じように慰安婦の声として登録をしようとしているということがネット上で私は把握をしております。
 そういったものを登録しようとする団体に、先ほどのレイ・エドモンドソン氏、この登録事業を改善をしていかなきゃいけないという中心メンバーの一人、六人のうちの一人、この人がこの日本側の申請団体の集会にて、かの発言をすると同時に、その前に、ここにも資料を付けましたけれども、これ挺対協です、挺対協というのは挺身隊対策協議会、もう反日団体ばりばり。もう全部、韓国の中にどんどん慰安婦の像を建てていって、日本大使館の前の慰安婦像についても毎週のごとくデモをやって絶対に撤去させないとやっている団体ですね。この挺対協の集会に出て、そしてこの集会何なのかというと、ユネスコ記憶遺産登録日本軍慰安婦共同申請書のための第三回国際会議ということで、これは三月のものですけれども、これ挺対協のホームページにアップされていた写真です。これ、ちょっと見にくくて申し訳ないんですが、女の人が背中向けていますが、その一番奥に、黒いチョッキみたいなのを着た赤い袖の、ちょっと顔が消えていますけれども、ひげの人がいるんです。これがレイ・エドモンドソンなんです、レイ・エドモンドソン氏。
 つまり、挺対協の集会にも出て、こういったことをやっていると。つまり、この人は、今これから、いわゆるユネスコの記憶遺産の登録をするためのルールブック作りをしている人なんです。ルールブックというのはやっぱり公平公正でなきゃならない。ルールブックを作っている人、又はレフリーが、私ラグビーやっていましたけど、一方のチームのコーチをやっているのと同じことじゃないですか、これ。これは不公平ですよ。どう見たって公正じゃない。
 私は、そういうことを見て、このレイ・エドモンドソン氏がこういったユネスコ改革の公平性といった点で非常に問題ではないかと考えておりまして、このことについては外務省としてどう御所見をお持ちでしょうか。

○岸田国務大臣

 まず一般論として申し上げるならば、世界記憶事業の関係者において、登録申請者の接触については慎重でなければならない、慎重さが求められると考えます。こうした考え方については、我が国からユネスコ側にもしっかり伝えております。
 そして、この制度改善につきましては、加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨と目的を推進するものとなるようしっかり取り組んでいかなければならないと思いますし、この見直しのメンバー、他にもたくさんおられるわけですので、そういったメンバーも含めて、あるべき姿についてしっかり御理解いただいた上で、しかるべき制度がつくられていかなければならないと考えます。
 是非、本来の趣旨に沿った制度実現のために努力を続けていきたいと考えます。

○山田(宏)委員

 政府としては、大変センシティブな問題だし、関係者は多いので、なかなか多く御発言が難しいと思いますけれども、是非、日本の議会でそういう意見もあったんだということをユネスコ当局の方にお伝えいただきたいと、こう考えております。
 そして、その上で、改めてもう一回お聞きをしたいと思いますが、やはりこの南京、じゃない、ごめんなさい、何回も間違えて、慰安婦の歴史的資料というものについての登録は、やはり新しい改善、改定されたガイドラインの下でやるべきというふうに考えております。それは、配慮、考慮をするということで、テークノートすると、こういうことだったと思うんですけれども、是非、この二〇一五年に南京事件の、我々から見ればとんでもない資料が登録をされてしまったと。そして、それを基に、やはりちゃんと関係国の意見聞くべきだとやり始めたところに、どさくさに紛れてこの五月にこういう今度は慰安婦の登録までやると、こういったことになっていますので、去年の十二月、南京のそういうものがあって、そしてその後、ユネスコの経緯を見れば、これはやはり新しいガイドラインでやらなきゃいけないと考えております。
 是非、その辺、外務省としても留意をしていただきたいと。改めて御所見を伺います。

○岸田国務大臣

 先ほども申し上げましたが、我が国としましては、新しい制度の下で審査が行われることが望ましいと思っています。まずは、新しいこのユネスコの趣旨に沿ったしっかりとした制度がつくられることが大事だと思っておりますし、その新しい制度の下で審査が進むよう、しっかりと努力を続けていきたいと考えます。

○山田(宏)委員

 ありがとうございます。
 この記憶遺産のことについて、先ほどから申し上げておりますように、いわゆる南京事件の記録は登録されてしまったわけですけど、これずっとどんな資料が登録されたのかというのは公表されてきませんでした。やっと公表されたと聞いておりますけれども、この南京、言わば南京事件の公文書の記憶遺産について、当時十一点と言われておりましたけど、私、十一点といったら十一個なのかと、こう思ったんですが、もっと多いように聞いているんですけれども、一体これ公開されているのかどうか。そしてまた、どういう公開をされているのか、どこにあるのか、何点あるのか。この辺、外務省は把握されているでしょうか。

○岸田国務大臣

 この登録された南京事件の資料ですが、中国国内の七つの公文書館で保管されているものと承知しております。しかし、具体的に何点の資料が登録されたかについてはいまだ明らかにされていないと承知をしています。
 ユネスコが規定している記録遺産保護のための一般指針には、登録資料へのアクセスが広く一般に対して確保される、これが奨励されています。にもかかわらず、いかなる資料が実際に登録されたかは今現在公開されていないことから、同指針の趣旨を踏まえて、登録資料へのアクセスが認められ、しかるべく調査が行われるよう、中国、そしてユネスコ側にも申入れを行っているという現状にあります。

○山田(宏)委員

 ということは、まだ調査もできていないということだし、調査できるかどうかも分からないということなんでしょうか。

○岸田国務大臣

 現状については今申し上げたとおりですが、いかなる資料が実際に登録されたかについて、中身を調査し検証すること、これは重要であると認識をしています。そのためにも、登録資料へのアクセスが認められるよう、引き続き中国、ユネスコ側に強く申入れを行うとともに、資料の中身を精査するために日本人専門家を中国の公文書館に派遣することも含め検討しているところであります。

○山田(宏)委員

 是非お願いします。特に、このいわゆる南京虐殺というものについてはもう大分研究調査も進んでいまして、いわゆる彼らがこの虐殺の証拠だとされているような写真についても、何一つ証拠能力はないのではないかということが専門家によって明らかにされつつあります。
 それからさらに、様々な出てきた文書、例えば国民党政府が持っている、いわゆる日本軍が南京を攻略した年、昭和十二年、一九三七年の十二月、まあ十一月から一年間にわたって中国国民党政府、我々が戦っていた政府、この国民党政府、蒋介石政府が三百回近い記者会見を行っているんですけれども、一度もその一年間、南京虐殺があったと後から言っているのにもかかわらず、一度も虐殺については触れていないんです。
 また、国際安全委員会というのが南京市の中に外国人を中心につくられておりましたけれども、この国際安全委員会というのは、南京に住んでいる方々が安全に住めるように外国人の方々が監視をしてやっている。この安全委員会の資料を見ても、これかなり日本には厳しい団体でしたけれども、昭和十二年の十二月に日本が南京を攻略したときに、そのときの南京安全地帯での人口は二十万と、こう報告をしておりましたけれども、もう翌年一月の上旬には二十五万と報告をしているわけです。何で虐殺があったのに増えるのか、全く解せないと。
 とにかくこの問題については多くの疑義が生じておりまして、やはりこの南京虐殺なるものの資料については、もう一点残らず、何年掛かってもいいから、国の予算で全部しらみ潰しに、その資料と称するもの、次から次へとやっぱり反論していくぐらいの気概がないと駄目ですね、これ。
 私は、この問題については、日本国政府がきちっと言わば、国を挙げて、何年掛かっても、しっかりと漏れなくこういったいわゆる事実検証を行っていくべきだと、こう考えておりまして、このことについても、是非専門家のチームをつくって、ちゃんと日本の事実を明らかにして名誉を守ってもらいたいと、こう思っておりますけれども、御所見を伺いたいと思います。

○岸田国務大臣

 いずれにしましても、ユネスコのこの世界記憶遺産の現状の制度から考えましても、いかなる資料が登録されたか、これが確認できない、そして公開されていない、このことはその制度のありようとして問題であると考えます。是非、登録されたこの資料がいかなるものであるのか、これについては、アクセスができるようまずしっかり求めていかなければならないと思いますし、把握するべくしっかり努力を続けていかなければならない、このように認識をいたします。

○山田(宏)委員

 いや、まあ、私、自民党なので余り言いたくないんですけれども、是非……(発言する者あり)いやいや、是非、私が申し上げたのは、アクセスするだけではなく、日本政府として、我々の国の問題、我々の先祖の問題を取り上げているわけですから、その資料が正しければ何でもいいです。だけれども、その事実が本当の事実かどうかというのは我が国としてきちっと検証すべきだと思っておりまして、そのことについても是非御検討いただきたいとお願いを申し上げます。
 そして、あと一点ですけれども、この共同登録日本委員会の代表の渡辺美奈さんという人がいらっしゃいまして、この方は女たちの戦争と平和資料館というところの事務局長をやっておられます。そして、この女たちの戦争と平和資料館の正面にこの天皇陛下を銃殺する絵が飾られているわけです。
 こういった団体なんですけれども、ここが慰安婦問題解決オール連帯ネットワークという、こういった団体の賛同団体になっておりまして、このネットワークというところが実は九月の三十日にこの参議院議員会館の一〇一号室で集会開いています。それは日韓合意後も賠償は可能という集会でございまして、日韓合意後も個人的に賠償を請求することは可能だという集会なんですけれども、この中の案内状に、オール連帯、この主催団体ですが、オール連帯は今年六月、つまり今年の六月に外務省と交渉した際、日韓合意後も被害者の個人賠償請求権は消滅していないという明確な回答を得ていますと書いてあるんですよ、こうやって。
 これ、外務省、こんなことを答えられたんでしょうか。

○岸田国務大臣

 日韓間の財産請求権問題については、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によって法的には完全かつ最終的に解決済みである、これが我が国政府の一貫した立場であります。御指摘の団体との面会においても、外務省からは政府の一貫した立場について説明を行ったものであると承知をしております。

○山田(宏)委員

 そうですよね、こんなはずないと思うんです。こういううそを書いて人を集めるというのは本当に問題だと、こう思うんですけれども。
 もう時間も迫ってまいりましたので次の最後の質問にしたいと思いますけれども、私、沖縄の問題、沖縄がいつから日本の一部になっているのかということについて、この一点だけお聞きをしておきたいと思います。
 委員の皆様にお配りをした資料の中に、琉球新報の二年前、七月十一日の記事がございます。琉球処分は国際法上不正、外務省否定せずと、こういった記事なんですね。その隣に、琉球処分の不当性が明らかになった、これから沖縄の主権回復を追求する、自己決定権を要求していくと、こういった記事なんです。
 琉球処分、御案内のとおり、一八七九年に琉球藩を沖縄県にいたしました。廃藩置県によるものであります。その前に、一八七二年に琉球藩を明治政府は設定をして、その七年後に沖縄県の設置をしたわけです。
 この処分が実は国際法、不正、違法なんじゃないかと、こういったキャンペーンが行われているんです。そのキャンペーンを基に、沖縄の中の一部の勢力は、とにかく沖縄は琉球民族の国であり、とにかく自己決定権を保障されるべきだと、もっと言えば、主権を回復させるべきだ、もっと言えば、日本から離れて、琉球王国じゃないけど、一つの独立国になるべきだという主張まで存在をしているということなんです。
 それは、どんな意見でも構いませんよ。だけれども、この背景に中国がいるんじゃないかと考えておりまして、資料の二番目なんですが、この琉球新報の記事の一年前、二〇一三年五月十二日に人民網、これは何なのかというと、人民日報、中国共産党政府の公式の新聞です。この人民日報の日本版のいわゆるニュースですね。ここに社説を掲載しまして、中国は三つのステップで琉球再議を、再議、もう一度議論する、を始動すると。第一ステップは、琉球国の復活を支持する民間組織の設立を許可することを含め、琉球問題に関する民間の研究、議論を開放し、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に周知させる。第二ステップは、中国政府として正式に立場を変更して、琉球問題を国際的場で喚起するか否かを決定する。そして三番目は、日本が中国の台頭を破壊する急先鋒になった場合は、中国は実際の力を投じて沖縄地区に琉球国復活勢力を育成すべき、こういうことを述べているわけです。
 この翌年にこの琉球新報の記事なんですね。私は、何かこう、全く無関係とは思えないわけです。要するに、日本を分離する、アメリカから引き離すというのを、日本も二つに、沖縄と本土とを引き離す、こういった策謀がずっと続いてきているのではないかと思うんです。
 それに一石投じてしまったのが外務省の、日本政府の判断なんです。平成十八年十一月十日に鈴木宗男衆議院議員の文書質問に対する回答で、琉球がいつから日本の国になったのかというこういった趣旨の質問に対して、沖縄についてはいつから日本国の一部であるかということについて確定的なことを述べるのは困難でありますと、が、遅くとも明治初期の琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置のときには日本国の一部であったということが確かですと、こういうふうに言っているんです。こんなことでは駄目なんですよ。これだと、要するに、もう日本は、明治の初期は沖縄は日本の一部だったけど、その前は知りませんよと。そんなことを言い始めたら、もう中国の思う存分やられちゃう。
 でも、この問題は、実は、この琉球処分と言われる沖縄県の設置に対して、当時の清国が文句言ってきたわけです。これは独立国であって、そして中国に朝貢をしてきた国だと、こう言い張った。日本は、日本の一部だと言った。今と同じじゃないか。
 今と同じときに、寺島宗則という当時の外務大臣は、この沖縄というところはもう古来から日本であるということをいろんな資料を挙げて主張しているんですよ。それが皆さんにお配りした漢文の資料です。なかなか読めませんが、今ちょっと時間がないのでその訳文は申し上げませんけれども、ここまでしてちゃんと日本国政府の主張をしているんですね。もう天平時代から関係があって、しかも正式には徳川の時代になってから琉球が日本の一部になったと、はっきり、もう全て、文化から何からいろんな資料を出して言っているわけです。
 外務省はやっぱりここまで主張しなきゃ駄目なんですよ。明治の初期には遅くともなっていたけど、それまではどうか分かりませんなんて、こんなことを言っていたら、こういった中国の策謀をただ許すだけになってしまうと私は大変心配をしております。
 そこで、最後の御質問なんですけれども、外務省は、この国連の人権何とか委員会というところから、沖縄の琉球民族について、これをきちっと話し合うべきだという勧告に対して、いわゆる琉球民族、日本で民族というのはアイヌ民族だけで、琉球民族というものは認めていないと、そういうのはないという反応をしているんです。じゃ、そう言っているからには、やっぱり昔から日本だというふうにちゃんと言えなきゃおかしいと思うんですよ。やっぱり、寺島外務大臣のときと今とやっぱりつながるような、そういう外務省の見解をきちっとまとめてほしいと、こう思っているんですけれども、いかがでございましょうか。

○岸田国務大臣

 まず、委員の御指摘の中で、琉球処分につきましては様々な見解があるとは承知していますが、一般に、明治初期の琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置の過程を示す言葉として用いられている、このように承知をしています。
 そして、従来から申し上げているように、この沖縄県については遅くとも琉球藩の設置及びこれに続く沖縄県の設置のときには日本国の一部であったこと、少なくともこれは確かであるからして、したがってこれらの措置は法的には問題はなかった、これをまず認識をしております。
 そして、それ以外の委員の方の御指摘につきましては、御指摘をしっかり受け止めた上で、何ができるのか一度検討してみたいと考えます。

○山田(宏)委員

 照屋寛徳先生も文書質問を出されて、琉球国としては、江戸の末期にいろんな国々と条約を結んだんだから国としてそうなんじゃないかと言いますけれども、その条約を結ぶときには薩摩藩の人たちがみんないるんですね、そこに。ちゃんと薩摩藩の了解を得てやってくれと、こうやっているわけです。ですから何ら問題ないんですね。
 ですから、私はやはりそういったことも含めて、この寺島外務大臣の述べた、清国に対して述べたとうとうたる論拠を踏まえながら、もう一度外務省としての見解を整理していただきたいと改めてお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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2013年3月18日の衆議院予算委員会 経済対策・経済連携等についての集中審議における山田宏と各閣僚との質疑応答の映像、そして質疑応答の全文を公開しています。

■2013年2月28日 衆議院予算委員会 集中審議 山田宏の質疑応答

2013年2月28日の衆議院予算委員会、集中審議における山田宏と各閣僚との質疑応答の映像、そして質疑応答の全文を公開しています。

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