○山田(宏)君
自由民主党の山田宏でございます。
私は、口腔の健康が全身の健康につながるという視点から、何点かコロナ禍における今の日本の状況についてお話を伺いたいと思います。
これまで発生が確認されましたクラスターの件数を医科、歯科、介護施設の別でどうなっているか、伺いたいと思います。
○政府参考人(正林督章君)
お答えします。
厚生労働省では、自治体のプレスリリースなどを基に、同一の場で二名以上の感染者が出たと報道等をされている事案の件数を集計しています。
昨日、六月九日時点のこうした事案の件数は全部で八千二百三十一件となっており、このうち医療機関では千二百二十五件、高齢者福祉施設では千六百八十件となっております。歯科については、報道等では施設類型が必ずしも明確でないものもあるため、確定的には申し上げられませんが、感染が判明した歯科医師とその患者で複数の感染が発生した事例として一件把握しております。
○山田(宏)君
今お話あったように、医療機関で千二百二十五件が確認されていて、そのうち歯科で確認されているものは一件ということであります。
昨年八月三日にWHOが公表しました歯科診療に関する手引では、感染リスクが高いので定期健診、歯科のですね、定期健診などは先送りするようにとされたその歯科の現場で、クラスターの発生が千二百二十五件の医療機関の中で一件ということですね。
なぜこの歯科診療所でのクラスターが発生が極度に抑えられているのかということについて、三月十九日、私が参議院の予算委員会で田村大臣に御質問させていただいたときに、田村大臣は、感染症に対して非常に注意深くやっているという結果だと考えているという御答弁をいただきました。
本当に注意深くですね、私もお聞きしますと、やっぱりグローブはもう、歯科でしょう、それから歯科衛生士、それから歯科助手、皆、患者さんごとに全部新しいのに取っ替えるわけです。マスクもしょっちゅう取り替えるということですよね。
それから、ハンドピースという、これ口の中に入れてジーってやるやつですね。あれなんかももうしょっちゅう滅菌するんですね。そのたびごとに滅菌する。椅子とか台とか、そんなものもしょっちゅう消毒すると。つまり、飛沫していくので、感染リスクが高いことをよく歯科診療所は分かっていて、もうそういう、それぐらい、これでもかというぐらいやるわけです。
そういった意味では、大変な努力をされている、歯科特有の努力があると思いますけれども、このコロナの状況で更にこういったものの費用が急増しておりまして、マスクはずっと高いままだし、またグローブは二倍から三倍になっていますね。
さらに、この滅菌器も二倍以上、私が調べたところ。これぐらいでもう大変な、四苦八苦しているという状況なんですけれども、このような歯科特有の感染予防の現状というものをどう厚労省は認識されているでしょうか。
○政府参考人(迫井正深君)
議員御指摘のとおり、感染予防対策に関する費用でございますけれども、診療科によりまして治療内容は異なるわけでありますので一概に比較はできないわけでありますが、歯科診療におきましては、唾液等の体液でございますとか飛沫への暴露の機会が多く、また、歯の切削等に伴いましてそれらが飛散するなど特殊性があるというふうに承知をいたしております。そのため、歯科医療関係者の皆様は、従前から標準感染予防策の徹底などの院内感染対策に取り組んでいただいております。
また、歯科診療におきましては、口腔内で使用する、先ほど御紹介をいただきましたけれども、口腔内で使用するハンドピースなどの医療機器について、患者ごとの交換や専用の機器を用いた洗浄、滅菌処理の徹底が必要であることから、平成三十年度及び令和二年度診療報酬改定において、院内感染防止対策を要件とした上で、歯科診療報酬における初診料、再診料の引上げを行っているところでございます。
○山田(宏)君
四月から初診、初再診料五点。五点って、グローブ一個も買えないですよね。
ですから、これはもう財源があるからしようがないんだけれども、こういった感染対策をこの歯科の診療所はどうやっているのかというと、主に初再、そのおっしゃられた初再診料でこれまで支弁してきておりました。
ところが、この初再診料、同じ診療でありながら医科と歯科とが初再診料が格差が残ったままでございまして、医科は初診が二百八十八点、歯科が二百六十一点、再診料は医科が七十三点で歯科が五十三点と大きく差があるわけです。
一体、これ何でこういう差があるのかという疑問の声を多く聞くわけですけれども、同じ医療機関なのになぜその差が初再診料で付いているのかをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(濵谷浩樹君)
お答えいたします。
医科と歯科の診療報酬でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、その医科と歯科との診療内容の違い等から違っているものと考えております。
具体的には、医科の場合には診察等の基本診療料として評価される部分が大きい一方で、歯科の場合には個別の処置等の技術料として評価される部分が大きいということで、こういったことが初再診の差になっているものというふうに考えております。
○山田(宏)君
今、濵谷さんそうおっしゃったけど、やっぱりコロナになって、今までの技術料の中で見ているといったってもう本当に微々たるもので、今までそれでも必死でやってきたのに、更に今度また輪を掛けていろんな対策をしているというのが今現状だと思うんです。
その上、さらにこの二年間、歯科の現場の経営悪化の大きな原因の一つが、歯を削って詰めたり上にかぶせたり、またブリッジにしたりすると、金属ですね、特殊な金属、金銀パラジウム合金といいます、これ製作合金ですけれども。この公定価格と実勢価格の差が全然埋まらないままずっと来ておりまして、この価格の差額を全部それぞれの診療所がかぶっちゃっている、こういうような状況なんですけれども、大体公定価格というのは、それだけのものをちゃんと支弁していくから公定価格で、自由に価格が付けられればそういうことは必要ないわけですけれども。
そういった意味では、これ、皆さんのところにお配りをしております資料を御覧いただきますと、一枚目が厚労省の資料、二枚目が歯科医師会の資料ですけれども、大体似たよった感じなんですが、厚労省については今年の三月まで、歯科医師会については六月までの資料がございます。
大体これ三十グラムの金銀パラジウム合金の値段なんですけど、大体一つ奥歯をかぶせると六グラム(*スプルー線を含めた歯科技工所でのおおよそのグラム数)、これを計算すると大体、厚労省の資料で、この三月の段階で千八百円の差が出ているわけです。かぶせるのを一つやるだけで。最近だと、歯科医師会のこの資料を見ますと、二千九百円の差が六グラムで出るわけですね。
なので、やはりこれを全部かぶっているというような状況がずっと続いておりますけれども、こういった状況というのは本来あってはならないと思うんですけれども、この辺についての御所見と今後の対応を伺いたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君)
委員おっしゃられたとおり、コロナということを考えると、この飛沫といいますか唾液の中にウイルスいるわけで、そういう意味では歯科は本当に危険なといいますか、そういう処置をされているんですが、言われたとおり、ほとんどそのクラスターは生まれていないということで、いかに平素から、つまりコロナ前からこの衛生観念しっかり持って感染症というものに対して非常に注意を払っていただいたかということが分かるわけであります。
確かに、言われるとおり、そういう意味ではコロナで非常に厳しい状況、我々もよく存じ上げております。今までも、先ほど言われた初診料、再診料違うという話があったわけでありますが、ハンドピースの問題が、いっとき私、前の大臣のときに出まして、それでハンドピースをちゃんときれいに殺菌していただきたいというような話をする中で、当初加算でやっておったんですが、平成三十年に初診、再診の中に入れさせていただいて、対応させていただきました。
そして、令和二年に、更にコロナということもあるんでありましょうけれども、全体として衛生的なものに関してしっかりと研修をやっていただきたいというようなことも含めて、今般、初診料十点、再診料二点というのを、これは令和二年からこのような形で対応させていただいておるということであります。さらに、今回のコロナで、今委員がおっしゃられましたけれども、これは五点、これはコロナなので非常に厳しいということで、外来五点と、小児に対しては五十五点というような、そういうような対応をさせていただいているわけなんですけれども。
今言われた金銀パラジウム、これ以前からもうずっと言われておりまして、年二回にこれ改定をさせていただいたんですが、それでも厳しいというようなお声をいただきました。年四回、やはりこれはもうやらなきゃいけないということで、今まで四月、十月だったんですけれども、これを、昨年三月、中医協でそういう御議論をいただく中で、年二回更にプラスということで、一月と七月という形でこれを対応するということでありまして、今まで、四月、十月はプラマイ五%動くと、あれで、それを入れ替えておったわけでありますけれども、今般、五%ですとシステムを入れ替えるのが頻繁になりますので、歯科医師会の皆様方からいろんな御意見いただく中において、一五%価格が動いた場合にはそこで改定をするということを決めさせていただいたということでございます。
いずれにいたしましても、このパラジウムの問題という問題はもう前からずっとある問題でありまして、全くもって、歯科医にしてみれば、これ逆ざやになっちゃったらそのまま出ていっちゃうわけで、これ下がるときがあればいいんですけれども、大体一貫して上がっているものでありますから、そういう意味では歯科医にとっては大変な御負担になっているということは我々も認識いたしております。
今回の見直しの中において、しっかりと対応できればというふうに思っております。
○山田(宏)君
大臣、ありがとうございました。
今般、七月は、一五%上下に動いていないと駄目ということで見送られると、十月は五%ということで、これは、これ、何というかな、何で一五と五なんですかね。
○国務大臣(田村憲久君)
今申し上げましたが、五%ですと頻繁にシステム改修が費用が掛かると、システムの改修にということで、これは、歯科医関係の皆様方と話する中で、やはり一五%ぐらい変わらないと、五%で頻繁に変えているとシステム費に費用が掛かるというようなお話もある中において一五%というような形にさせていただいておるというふうに聞いております。
○山田(宏)君
一日も早くこの差損を解消していただきたいということをお願いしたいと思います。
それで、最後に、一番最後のページに、歯周病と新型コロナ感染症の、これは予算委員会でも出した資料ですけれども、ジャーナル・オブ・クリニカル・ペリオドントロジー、歯周病に関するジャーナルと、世界でトップクラスの学術書に出ていた今年二月の論文によると、歯周病がある人とない人はコロナの重症化の率が違うと。歯周病ある人は全体の一二・八%が重症化したが、歯周病ない人は二・三%という結果が出ておりますし、また、歯周病がある人がコロナで死亡する可能性はない人に比べて八・八一倍と、人工呼吸器使用の可能性四・五七倍と。こういった形で、歯周病があるかないかでコロナの重症度が違うということが国際的な学術雑誌にも出ております。
また、最近の同じジャーナル・オブ・クリニカル・ペリオドントロジー見ますと、歯垢ですね、歯垢の中にコロナウイルスが見付かるということで、ここに、歯垢の中に、歯垢がたまっているとそこにコロナウイルスがずっとすみついてしまうということで感染のリスクが非常に高まるというような論文も、ブラジルの論文が出てきております。
こういった意味で、やっぱり口の中というのはコロナ対策において非常に重要なので、是非こういったことも含めて、このコロナに、コロナ禍における口腔ケアの重要性について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君)
以前からいろんな研究やっていただいておりまして、明確にあるのは、もう誤嚥性肺炎とコロナとのですね、あっ、コロナじゃないや、口腔ケアとの関係、これはもう明確にエビデンスが出てきているわけであります。
それから、昨今では、生活習慣病、糖尿病などとの因果関係などもいろんな形で証左が出つつあるということでありますが、今委員がおっしゃられた歯周病とコロナ、それから、今言われた、歯垢の中にコロナがいるんですか、そういうような話というのが、それぞれ世界の中でいろんな論文が出てきているということはお聞きをいたしております。
更に知見が集積してまいりますと、いろんな形で、我々も、口腔ケアとコロナということに対して国民の皆様方に対していろんな対応等々も勧めていけると思っておりますので、知見が集まってまいりますことを期待をいたしております。
○山田(宏)君
終わります。ありがとうございました。