○山田宏君
自由民主党の山田宏です。
政府は、自衛隊を国際社会では軍隊として扱いながら、国内では憲法上の制約から通常の軍隊ではないと、ダブルスタンダードによる言わば差別扱いをしてきました。
軍隊ではないので、海上自衛隊の艦船を、国際社会では各種軍艦の呼称を用いながら、一方、国内では一くくりに護衛艦と呼び、また、他国の軍人の階級についても、例えばカーネルを大佐と訳すのに、自衛官の場合は一佐と呼称してきました。
呼称だけではなく、軍隊ではないことで、他国の軍隊では当然の制度や待遇が自衛隊には存在しません。例えば、軍紀を維持するための軍独自の司法機関である軍法会議がなく、自衛官は、命令で行動しても、軍事専門家でない裁判官による一般裁判所で裁かれることになります。また、生命の危険を伴う職務でありながら、他国では普通の、自衛官には軍人用の恩給がなく、一般公務員としての年金のみであります。また、他国の軍人には、功績や職務精励に対し、現役中にも、現役中に何度も叙勲の機会があるのに、自衛官は一般公務員と同様に退職後一度だけ。しかも、全員が対象にはなっていません。
任官時に全ての自衛官は法令に基づいて、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」と宣誓していますが、国家と国民を守るため四六時中命懸けで任務遂行に当たっている自衛隊に、このように他国の軍隊では当たり前の名誉と待遇が認められてこなかったのは、国家が憲法上自衛隊を通常の軍隊として認めてこなかったからであります。私は、自衛隊がその任務を完遂するために、速やかに自衛隊を国家として正式に承認することが必要と考えます。すなわち、自衛隊を憲法に明記することであります。
本審査会で憲法九条の改正について議論することは、我が国周辺の安全保障環境がますます厳しさを増す中、多くの心ある国民の大きな要請であります。本審査会で速やかに議題として取り上げるよう強く要望し、私の意見表明といたします。