衆議院予算委員会の集中審議 山田宏の質疑応答全文
○二階委員長
この際、山田宏君から関連質疑の申し出があります。平沼君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田宏君。
○山田(宏)委員
日本維新の会の山田宏でございます。
昨日の民主党の質疑の中で、篠原委員の方から、総理、ぜひ民主党の総理のようにはならないでくれというような御発言がありました。まあ、中にはクエスチョンマークのつく人もいましたけれども、しっかりした人も私はいたと思うんですね。
しかし、この間、オリンピックの招致が決まった瞬間を見まして、皆さんの努力、それからさまざまなメッセージ、安倍総理の発言、すばらしかったです。すばらしかったと同時に、私がふと思ったのは、今の安倍総理には運がついているなと。
もちろん実力もありますよ。ありますけれども、実力だけでは人生はやはりだめです。国の運というのは、国家リーダーの運に引っ張られます。そういった意味では、ぜひその運を引き継いで日本を再生してほしいな、こう願っております。
しかし、運をずっと高め続けていくのには大変な努力が要る。私が師事をいたしましたパナソニックの創設者である松下幸之助は、運の大切さを説いておりましたけれども、運を高めるためには何が必要かということに対して、運を高めるためには徳を積むことだということを言っておりました。徳、人のために最善を尽くす、そういったことを積み重ねることによって、どんどん運が高まっていくという話でありました。
その中で、ぜひ国家リーダーとして安倍総理が昨今の厳しい国難を乗り越えていくために、その運を高めていくために、まず、私はこの質問から始めたい、こう思っております。
実は先日、二人の日本の大学生から、レイテ島訪問記というレポートを受け取りました。この二人の青年というのは、ことしの八月、自費でフィリピンのレイテ島にある日本人将兵の慰霊碑を幾つか訪ねたという記録でございました。
二人の名は、東京大学の経済学部四年の栗栖祐哉君、もう一人は、慶応大学商学部の副島慎太郎君という二人であります。彼らは、島内に散在する慰霊碑を訪ねて、その荒廃していく状況にひどくショックを受けたということであります。
その一つがこの写真です。これはレイテ島の中にある慰霊碑の一つですけれども、「鎮魂」と書いてあります。これは、一見きれいに見えますけれども、周りは草ぼうぼうであります。
レイテ島といえば、昭和十九年、一九四四年の十月二十日から激烈な戦闘が日本とアメリカによって行われた場所であります。その中で、レイテ島の地図、ここですね、ちょっと見ていただければわかりますけれども、このレイテ島、非常に平たんな島ですので、航空基地が幾つかありました。そういった意味で、重要な拠点でございました。ここで、大東亜戦争で戦死者が、日本で約八万人、米国では三千五百人、こう言われております。
こういった慰霊碑はレイテ島だけでも二十五はある、こう言われておりまして、彼らの訪問記を読みますと、それらは草むし、中には、蜂の巣がつくられ、または朽ちつつあるものもあるということで、例えば、こういった第一師団、これは東京ですけれども、第一師団もここでかなりの戦死者が出ました。こういった木の、卒塔婆というんですか、これも何回も取りかえてもだんだん朽ちていく、ジャングルですからね、そういった場所です。また、これも別の場所の慰霊碑ですけれども、ここはもう蜂の巣だらけになっているということでありました。
一方、アメリカ軍の方ですけれども、ここはマッカーサーがフィリピンに再上陸した場所ですから、こういった公園がきちっと整備をされております。
その中で、この青年たちは、このコントラストを見て、何か自分たちでできないか、きちんとこういった慰霊碑を維持していく方法はないんだろうかということに強く胸を痛めた二人でありました。
そこで、まず質問させていただきますが、こういった過去の戦争で戦死された方々へのこういった海外の戦没者慰霊碑というのは、どれぐらいあると把握されているでしょうか。
○田村国務大臣
厚生労働省といたしまして、平成十二年度から調査をさせていただきました。
民間の団体の方々が建立された戦没者の海外での慰霊碑でありますけれども、今お話がありましたとおり、かなりその建立者の方々が維持管理が困難な、そういうものが出てきておりまして、それに関しましては、建立者の方々の同意を得た上で、日本遺族会の方に委託をさせていただきながら、今、整理をいただいておるところであります。
今まで把握してきた数でありますけれども、一千二十基ほど確認をいたしました。その中において、移設、整理をしたものでありますとか、自主的に撤去をされたもの、これを除きますと六百四十七基、その中で、比較的良好なものが四百九十五基というふうになっております。
○山田(宏)委員
こういった慰霊碑をつくられる方というのは、みんな、遺族の方とか、またその地区の方とか、さまざまだと思いますけれども、どんどんどんどん時代が進んでしまいまして、管理をする人もいなくなる、これは世の常であります。こういった慰霊碑が、日本の国内にあれば幾らでも訪ねることができるんですけれども、海外となりますと、または高齢になってきますと、なかなかその維持管理というのは、それぞれに任せていくと無理だと思います。
どんどんどんどんそういった慰霊碑が放置をされるような結果になり、それが朽ちていくということは、戦没者に対しても大変失礼なことでもありますし、また一方で、現地の人も、アメリカのああいう公園はきれい、ぴかぴかなのに、日本の慰霊碑はどんどんぼろぼろになっていくということは、日本人というのは何と薄情な民族かということにもなりかねない、私はこう思っております。
こういったものをいつまでもきれいに管理できるというのはなかなか難しいとは思うんですけれども、ぜひ、こういう海外の慰霊碑については、例えば、現地でこういったものを管理している日本人会もあります。このレイテ島でいえば、セブ島の日本人会などは年一回訪ねられているということですが、ことしは八名ぐらいでした。そういったところに何らかの支援をするとか、または、どうしてもこういった管理者がいなくなったところは国として何とかしていくということをやはりしていかないと、私は、申しわけないし、または日本人としても恥だと思うんですね。
この辺、何とか真剣に考えてほしいと思っているんですけれども、総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣
さきの大戦において、遠い異郷の地において、祖国を思い、そして家族を案じつつ戦場で倒れられた方々を追悼し、そのとうとい犠牲を長く長く記憶にとどめ、そして平和を祈念することは、極めて重要なことであるというふうに認識をしております。
私も、数年前、タイのチェンマイに行った際に、そこに、井戸にたくさんの日本人の遺体を、とりあえずその中に葬っていただいた。それはタイのお坊さんたちにやっていただいたわけでありますが、その維持管理を実は日本の仏教界の方々がボランタリーにやって今日に至っているわけでございますが、そこには政府からも、昭和天皇の御製を刻んだ鐘が寄贈されていたわけでございます。
私も、そういう地に行ったときには、なるべく時間の許す限り、手を合わせるようにしているわけでございますが、政府としても、主要な戦場となった太平洋地域など、各地に戦没者慰霊碑を建立してきたところでありますが、それにも増して、多くの民間の方々がみずからの発意で慰霊碑を建立し、戦没者を追悼されてきたことに深く敬意を表したいと思いますし、今、委員が紹介された二人の若い学生が、そうした地に足を運び、そして手を合わせていたということは、私、大変立派な行為であったというふうに思うわけでございます。
民間の方々が建立された慰霊碑については、建立された方々の意思を尊重しつつ、戦没者の方々への慰霊の思いを込めた適切な維持管理が行われるよう、政府としても、実態把握を初め、引き続きできる限りのことを行っていきたいと考えております。
○山田(宏)委員
ぜひ、もうそろそろ、いろいろな意味でタイムリミットになりつつありますので、新たな対策を検討していただきたい、こう思っております。
国も人も、過去への感謝を忘れたら滅びます。家族でも、先祖への敬意、感謝を忘れたときに、子供が曲がっていくものなんです。国の場合も、国の過去の人たちに感謝ができなければ、やはり国は弱体化し、滅びていくんですよ。
そういったことを考えるときに、やはり過去への感謝が全てのスタートであります。過去への感謝があれば、自然にそういう人たちの気持ちになって、未来への責任感が湧いてきます。未来への責任感が湧いてくれば、どんなに厳しい現実であっても、それを乗り越えようという勇気がふつふつと湧いてくるものなんですよ。過去への感謝を忘れたら、国は滅びるんです。
私は、そういった意味では、靖国神社、これはぜひ総理が、当然ながら、国家リーダーとして参拝をしていただかなければならない、こう思っているんです。
そして、ことしがもうすぐ終わろうとしています。私は、年に一回、やはりきちっと総理大臣が国家リーダーとして靖国神社への参拝をやってもらいたい、安倍政権になって進めてほしい、こう願っております。
今回も、韓国、中国との首脳会談が行われてからでは、これはなかなか厳しくなる。私は、その前にきちっとやっていくということが大事だ、こう思っておりますし、今回、真榊を出しても、真榊も参拝だなんと言っているんだから、まあ、それだったら参拝しても同じじゃないかというふうに私は思うんですね。
そういった意味で、ぜひ総理が早期に参拝をしていただく。また、この二人の学生の姿を見ても、私はそういうように感じるわけです。ぜひその見本を示していただきたい、こう思っておりますけれども、御所見があればお答えいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
国のために戦い、とうとい命を犠牲にされた方々に対して、英霊に対して、手を合わせ、尊崇の念を表し、御冥福をお祈りする、これは私は当然のことであろうと思うわけでありますし、リーダーとしてその気持ちをあらわす、これは当然の行為であろう、こう思うところであります。
その思いの中において、私は、第一次安倍政権の任期中に参拝できなかったことは痛恨のきわみであるというふうに申し上げたところであります。
同時に、この問題が外交問題、政治問題化しているのも現実でありますが、本来、外交問題、政治問題化させるべきではない、こう考えております。
いつ行くか、行かないかということについては、お話をすることは控えさせていただきたい、このように思いますが、今私が申し上げた気持ちは、今も全く変わっていないということでございます。
○山田(宏)委員
ぜひ早期の参拝をお願いしたい、こう思っております。
こういった困難な課題に受けて立つという気概が、ほかの困難な課題を乗り越えていく力を与えるものであります。ほかの課題も解決するためにも、この靖国の参拝の問題は大変重要だと思っております。
その困難な課題のうちの一つ、消費税の増税につきまして、総理が決断をされました。来年の四月から、五%から八%に三%上がるということについて、我が日本維新の会は、消費税増税実施の前提条件として五つの条件を、私なりに簡単にまとめました。
一つは、デフレ脱却のため、徹底した規制改革実施と法人税、所得税の減税を行う。
二つ目は、身を切る改革を断行する。特に、今年度中に、つまり来年の三月までに、国会議員定数の削減、公務員総人件費の削減に結論を得る。
三番目、国の公会計制度の見直しを行う。これは何度も申し上げておりますけれども、予算の発生主義、複式簿記化を含む財政健全化責任法案を日本維新の会は出しておりますので、これを審議入りする。
それから四番目は、社会保障改革。とりわけ、年金制度を賦課方式から積立方式に移行することを検討する。
五番目は、道州制基本法案を審議入りする。
こういった五条件を我々提案しました。この五条件が満たされなければ消費税増税は容認できないというスタンスであります。
私は、今回、この五条件の中で最初の二つ、特に成長戦略と身を切る改革について触れてみたいと思います。
前もお話ししたんですけれども、私、杉並区長を十一年やりました。その前は国会議員、都議会議員を務めましたけれども、議員をやっておりましたときは、予算の使い道、どんなサービスをするとかどんな施設をつくるとか、こういったことに非常に強い関心を当然持っちゃうわけです。
ところが、首長になりますと、そういったものをつくるのはいいけれども、いかにお金をつくるかということに頭が回っていくわけですね。みんなが負担をしないで、納税者に負担をさせないでどうやってお金を生み出すかということに頭を転換しなければいけないということに気づきました。経営者というのは多分そうだと思うんです。
今回、日本の経営が危機だとしますと、普通の経営者であれば、普通の会社を立て直すと考えていただければ、まず、売り上げを上げる、それからコストを削減するというのが先です。それをやった上で、借金できなければ、商品の価格を上げるということもあるかもしれません。しかし、借金ができないからまず最初に商品の価格を上げたら、これは会社はもちませんよ。まず売り上げを上げる、そしてコストを思い切って切る、こういったことをやった上で初めて価格に転嫁して、どうぞこれで何とか納得してくださいというのが普通なんですよ。
だけれども、これまでの国の政治は、借金ができないから増税。これはもう価格転嫁です。その前に、まず、売り上げ増、成長戦略、そしてコスト削減、こういったものをばしっと、みんなが、なるほどそこまでやるかというところまでやった上で増税というのが私は普通だろう、こういうふうに考えます。
そこで、今回、その成長戦略、売り上げ増について、成長戦略実現国会というんですから、その肝になります規制改革、それから、それの最も重要な国家戦略特区に絞って幾つか御質問をしていきたい、こう考えております。
人口減の話がきのうありました。しかし、人口減であっても、イノベーションを起こしていけばこれは成長していくんですよ。イノベーションを起こしやすくするためにはチャンスをふやさなきゃいけない。ビジネスのチャンスをふやす、チャレンジできやすい国にするということで、規制改革というのは絶対必要だと思うんですね。それで、国家戦略特区というのは、そういった規制改革のモデルをつくって、これを全国に広めようというものでしょう。
維新は、こういった規制改革を全体的に進めていくべきだということを主張してまいりました。その結果、今回、国家戦略特区の提案も、維新の会の代表、幹事長を務めております、大阪市長の橋下市長、大阪府知事の松井知事、両名が連名で、何としても大阪を日本のモデルにしていこうということで提案をしております。
そういったことも踏まえて幾つか質問したいと思いますけれども、まず、特区特区と、今までもいろいろな特区がありましたよ、構造特区とか。今回、また国家戦略特区と。国民には、一体どう違うんだ、何が今までだめだったんだということだと思います。
今までの特区がだめで、今回の国家戦略特区にしなければならないということについて、まず簡単に御説明いただけますか。
○新藤国務大臣
御質問ありがとうございます。
国家戦略特区は、これまでの概念とは違う次元で新しい日本の国の経済を開こう、そして、刺激を与えながら、日本が世界に出るような、また、世界から日本に経済が入ってこられるような、こういう先駆的な取り組みにしようということを考えております。
ただ、ぜひ御理解いただきたいのは、今までの特区がだめだったのではないんです。構造改革特区、総合特区を初め、いろいろな制度はございます。ですから、それはそれできちんとやっていきます。
今回の国家戦略特区の最大の違いは、これまでは手挙げ方式でした。事業主体が御提案いただいたものを、政府が、国家が認めてやっていただく、支援をする。今度の国家戦略特区は、地方や民間の皆さんから御提案をいただきます。あわせて、国も一緒にそこに事業をやります。ですから、国の力を総動員して、みんなでこの日本の国の底力をもっと出せるような地域をつくっていこうではないかと。
そこで、先駆的にまず規制緩和をやります。うまくいったものは全国的に波及させればいいと思います。場合によってはうまくいかない場合もあると思います。ならば、それは徹底的に原因究明をして、次にどうしたらいいかのことをやろうと。ですから、一度決めたら終わりではなくて、こういういろいろな経済のサイクルをつくっていこう、そして、その中で、まずは日本が世界で最もビジネスのしやすい環境をつくって、そういった新しい経済の刺激を行おう、この取り組みを始めようというところでございます。
○山田(宏)委員
総理も、岩盤規制と言われている分野に、岩盤に穴をあけるドリルになるという御発言をされています。これは本当に大きな期待をしておりますけれども、幾つかの分野、今回、十月十八日に「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」というのが決まりましたので、これに沿いながら御質問させていただきたいと思います。
全体を読んだ感じでは、ちょっと何か、もう少し頑張ってほしかったなと思う部分はないわけじゃありません。まあ、六十一点ぐらいですかね。一点というのは、やはり今後の意欲に期待するというところですけれども、ちょっとしょぼいなというところもあるんですけれども、幾つか聞いていきたいと思います。
まず、医療、これは一番に挙がっています。
医療は、規制改革の目的は、「国内外の優れた医師を集め、最高水準の医療を提供できる、世界トップクラスの「国際医療拠点」を作り、」「世界中の人たちがそこで治療を受けたいと思うような場所にする。」こういう場所が本当にできてほしいと思いますよ。
その手段は何か。一つは、外国人医師が診察できるようにしましょうということですね。そこで、すぐれた外国人医師を呼び込もうということで、特に臨床修練制度というのを拡充しよう、こう言っています。
今まで、臨床修練制度というのは、どちらかというと、日本の医療を学びに来るという人たちのための制度だったのを、今度は、日本の人たちにも教える教授クラスの人を呼ぼうというものですよね。そういうものになっているんですけれども、臨床修練制度を読んでみますと、期間は二年なんですよ。生徒だったら二年でいいかもしれないけれども、先生ですからね。しかもすぐれた先生を呼ぶとなると、二年というのは、向こうを捨ててきて、こっちで日本の生活になれて、ああ、やっとなれてきたと思ったら帰らなきゃいけない。こんなので本当に、世界のモデルとなるような、世界じゅうの人たちがそこで治療を受けたいと思うような場所になりますか。二年じゃ短いじゃないですか。これは変えるべきだと思うんですけれども、どうですか。
○田村国務大臣
委員がおっしゃられました臨床修練制度、言われるとおり、今までは研修目的で海外から日本の医療を学ぼうという方々に二年、大学院に行く場合はさらに二年、一回更新できるということを今回考えております。
一方で、世界の高度な医療技術、逆に教授等々をお招きして日本でそれを学ぼうというような場合に関して、もしくは臨床研究なんかの場合もそれに当てはまってくるわけでありますけれども、こういう場合は、すばらしい技術を持った世界の医師を二年ということが短いという話でございます。
これは、いろいろと日本経済再生本部でも御議論いただいて御決定をいただいたことでございますので、二年というのは原則でありますけれども、これも一回更新で四年間できるような形で、日本ですばらしい技術をぜひとも広めていただきたい、このように思っております。
○山田(宏)委員
明治維新のときは、クラーク博士を初めとして海外から優秀な人をどんどん呼んできて、十年、二十年やってもらいましたよ。十年、二十年は長いにしても、やはり二年というのは、とてもじゃないけれども、優秀な人が来るには私は短過ぎると思うので、ぜひ検討してください。
この修練制度の厚生労働省のホームページを見ますと、説明が余りされていない、この制度の。しかも日本語。英語で書くべきだと思うんですね。申請書類がばらばらと書いてあるだけで、ちょっと不適切。来ないでくださいというような感じになっているんです、ホームページが。だから、帰って、これもよくごらんになって、改善してほしいと思います。
それから二つ目に、外国人医師のあれですけれども、二国間協定を拡充するとあるんです。二国間協定というのは、ある国と日本が協定を結んで、それぞれ同じ人数のお医者さんを出して、それぞれの国、例えばイギリスだったら、イギリスのお医者さんが日本に来て、日本のお医者さんがイギリスに行って、それぞれの国民、日本人は日本人、イギリス人はイギリス人を診るという制度です。
この二国間協定を拡充していくということですけれども、対象国を拡充する、また、人数をふやす、こういうことだと思うんですけれども、そもそも二国間協定というのは、今、どことやっているんですか。それから、何人の外国人医師が来ているんですか、今、日本に。
○田村国務大臣
現在、二国間協定を結んでいる国は、イギリスそれからアメリカ、フランス、シンガポールであります。来ている医師は、イギリスが一番多くて十三名、アメリカは六名、フランス一名、シンガポール、ゼロ名ということでございまして、これは必要に応じてということで二国間で協定を結んでやっているんですが、これも今般、本部の方からいろいろと御指摘をいただいた部分でございますので、本来は双務主義なんですけれども、今、委員がおっしゃられましたとおり、さらに国もふやしていこう、それから、受け入れる医師もふやしていくというような方向、さらに申し上げれば、今まではその国の患者しか診られなかったわけでありますけれども、外国人ならばそれぞれ診ていただいて結構ではないかということで、このような形で今検討させていただいております。
○山田(宏)委員
今、日本で働いておられる外国人医師は二十名、しかもその国の人しか診ていないということですから、日本にとっては何の医療技術の進歩にもつながらないし、切磋琢磨にもつながらない。そういうことを、今度はもっと数をふやしていこうということなんですけれども、今お話があったように、イギリスのお医者さんがイギリス人しか診られなかったものを、今度はほかの外国人、フランス人やインドの方、こういった方も診られるようにするということですが、なぜ日本人はだめなんですか。
○田村国務大臣
日本人の場合は、高度な医療を受けたいというニーズは、先ほどの臨床修練制度、こちらの方で、すばらしいスーパードクターのような方々が入ってこられるんだと思います。しかし、一般の医療ということからすれば、十分に日本の国内に医者がいるわけでありまして、そういうお医者様に受けていただければいい。
もうちょっと申し上げれば、やはりこの二国間協定というのは、日本の医師国家試験を受けていないんですね。その中において、二国間協定で入ってきていただく。世界じゅうを見ましても、やはりその国で医療を行おうとすればその国の試験を受けているというのが、ほとんど世界じゅうそのような形になっておりますので、わざわざ日本だけ二国間協定で日本人を診られるような状況にする、そのような意味は余り認められないということでございますので、そのような意味からも、このような形になっております。
○山田(宏)委員
それはだめですよ。やはり世界じゅうの人たちがそこで受けたいと思うようなところをつくろうと、これをもう一回読みますよ、「国内外の優れた医師を集め、最高水準の医療を提供できる、世界トップクラスの「国際医療拠点」を作り、」「世界中の人たちがそこで治療を受けたいと思うような場所にする。」と書いてあるんです、国家戦略特区の基本指針は。
そうであるならば、日本の人たちも、もしそういう高度な医療技術を持った人が来れば、そういった人にも受けられるようにすべきだと私は当然思うんですよ。国家試験のお話をされましたけれども、日本に来られて治療行為を行う外国人医師も、英語で日本の簡易な国家試験を受けておられるんじゃないですか。そういう試験を受けて入っておられる。
私は、日本人以外は全部診ていいけれども、日本人はだめよというのは、では、試験を受けていないんだから、ちょっと日本のレベルに達しているかどうかわからないんだからというんだったら、外国人の人は医療事故に遭ってもいいけれども、日本人はだめということですか。おかしいじゃないですか。
○田村国務大臣
今言われたように、高度な医療を受けたいという方々は、そういう制度が、先ほど来言っておりますとおり、もう一方でありますから、それで入ってこられた、すばらしい医療技術を持ったお医者様にそれは診ていただければいいんだろうというふうに思います。
今申し上げているのは、例えば英語圏の方々がおられて、なかなか日本で意思の疎通ができないというような方々がこのような特区の中において医療を受けたいと。例えば海外からビジネスマンの方々が来られる、英語圏だ。しかし、英語がわかる、ニュアンスがわかるような日本の医者がなかなかいないという場合に、例えばイギリスから、アメリカから来られたようなお医者様がそういう方々に対応していただくというのは、これは、まさに最も世界でビジネスのしやすい、そういうような国づくり、特区という意味で非常に意味があるのではないかという意味合いでございますから、そのような対応をさせていただくということであります。
○山田(宏)委員
では、高度な医療技術を持ったお医者さんが日本に来て日本人を診るということは可能なんですね、今のお話は。
でも、高度な医療かどうかというのは誰が判断するのかということはありますけれども、私は、ほかの外国の人もそこへ行けるのであれば、何で、同じ人間である日本人が行けないのかという規制の理由がいまだによくわかりません。それは、選ぶのは患者さんですから、そこが危ないなと思えば、行かなきゃいいんですよ。
私は、いろいろな人たちに開かれたということが大事で、これは大阪でも医療特区として認定を申し込んでいますけれども、やはりこの点については、今後、ぜひ改善をしてもらいたい、こう思っております。
次に、「保険外併用療養の拡充」というのがありますね。これはいわば、ちょっとこれを読んでも、要するに、医療水準の高い国で承認されている医薬品等については、国際医療拠点において、国内未承認の医薬品等の保険外併用の希望がある場合には、速やかに評価を開始できる仕組みを構築する、こうあるんですけれども、要は、日本で認められていない薬を使う場合、それを保険外だけれども併用してみてほしいという場合は、それをやれるかどうか速やかに決める、こういうことなんでしょう。
ということは、例えばがんなどの高度な疾病、これは完全な薬というのはできていないかもしれないけれども、常に日進月歩です。がんの患者から見れば、こういう新しい薬が出たから自分も適用してほしい、こう思いますね。しかし、今の制度だと、そういう未承認の薬は、基本的には、それを使うとなると、最初からの治療が全部保険外になって、一〇〇%自己負担になっちゃうわけです。これを保険で見る部分もあるけれども、その部分だけは、新しい薬の場合はその薬の分だけ自己負担よ、こういうことを認めていこうということですけれども、そういう認識でいいんですよね。
それともう一つ、これまでそういう方法をとってきたとすれば、今回それを早めるということなんだけれども、早めるということは、これまでどれぐらい期間がかかってきたものをどれぐらいにしようとしているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
○田村国務大臣
今、委員がおっしゃられましたとおり、保険外併用療養というのは、例えば、まだ保険に適用されていないような薬、薬事承認も受けていない、受かっていない、ですから保険にも収載されていないというような薬、これを使う場合は、本来は、他の部分に関して医療保険というものが使えないわけですよね。
ところが、全く安全性がわからない、効果が全く認められない、こういうものはなかなかそうはいきませんけれども、一定の安全性と効果が認められれば、薬事承認をされなくても、保険に載らなくても、これを保険と併用していいじゃないか、こういう制度であります。
実は、抗がん剤に関しましては、この特区以外でハイウェイ構想というのがございまして、これでもう既にやろうという方向でございまして、例えば医療技術の審査、こういうものを外出しにしまして、そこで効率化しながら早めようということ、これはもう決めました。
一方で、今言っております抗がん剤以外の薬でありますとか医療機器、これに関しましては、この特区の中で、例えばそれをやっていく実施体制でありますとか実施計画というものをつくるときに、これは我々が直接協力して早めようじゃないか、なるべく我々も協力しながら早めていこうじゃないかということでございまして、今まで大体六カ月から七カ月程度の期間がかかっておりますものを、今これから始めるわけでありますから、これを何カ月とは言えませんけれども、でき得る限り早く、保険外併用療養ができるような形で進めてまいりたい、こういう意欲のもとにおいて今検討をさせていただいております。
○山田(宏)委員
なるべく早く使えるようにお願いしたい、こう思っております。これも、大阪で医療特区をやろうということで提案をしております。
それから、同じように提案をしておりますけれども、雇用ですね。雇用の規制改革については、幾つかの新聞で、雇用特区、解雇特区というひどい言葉を使っているところもありますけれども、これは雇用特区ですよ。雇用特区を事実上見送りというようなタイトルで、雇用ルールの明確化は緩和色が後退した、総理は断念に向かうというような、こういうトーンで新聞記事が躍っていますけれども、総理、雇用特区は海外の投資家が一番見ているところでありまして、これは一体、断念するんですかね。この記事は正しいんでしょうか。
○甘利国務大臣
総理からも昨日も答弁がありましたとおり、もともと我々は、解雇特区なんということをつくるつもりはありません。
外国投資が日本に来る際には、予見性ということが大事です。雇用制度に対する予見性。これは、最終的にいろいろなトラブルがあったときには裁判になるわけでありますから、裁判事例を精査して、ある種のガイドラインのようなものができれば予見はできるわけでありますし、それに大枠沿っているかどうかのアドバイスはできるわけであります。そういう相談センターをつくるということは、投資にとっては将来が見通せるということになるわけであります。
あわせて、日本の現状の雇用制度ですと、法改正もあって、五年雇用をして、それを一日でも先延ばししようとすると、では、正規にするかどうか、本人にその意思があれば正規にしなければならない。そうすると、五年を超えるようなプロジェクトが成り立たないわけであります。
例えば、オリンピックに向けて七年間ある、オリンピックにある種フォーカスを合わせたようなプロジェクトについて新しい事業者が取り組もうとする、でも、それは、五年を超えたらずっと雇わなくちゃならない、そういう事業が成り立たないわけであります。五年を超えても、例えば、十年以内、一年ごとに契約の更新ができるというような制度があれば、そこにそういう事業が発生するわけであります。
雇用特区と言われるのは、そういうふうに、それがなかりせば起きないような事業を起こせるような素地をつくっていくということでありまして、特区という提案でさせていただいておりますけれども、全国規模でできればそれにこしたことはないということで、今検討が進んでいるところであります。
○山田(宏)委員
今回のこの雇用特区、我々もぜひやるべきだ、こう考えているんですけれども、今回、やはり、ちょっと次のものを見ていただきたいんですけれども、これはOECDの資料からつくられた臨時雇用労働者の一年後と三年後の雇用状態の国際比較です。臨時雇用の方が一年後、三年後どうなっているかということなんですけれども、例えばオーストリア、一番上を見ていただくと、一年後には、臨時雇用の人が常用雇用、正規雇用になったというのが五五・九%、相変わらず臨時雇用だと三五・三%、三年後は六七・五%が常用雇用になり、臨時雇用は二二・六%、こういうふうに見ていただくわけです。
オーストリア、イギリス、オランダ、ドイツとずっと先進国が並んでいますけれども、日本は、臨時雇用が常用雇用に一年後なったのは一七・五、そして、臨時雇用のままが七二・一、三年後でも、二四・九が常用雇用になりますけれども、臨時雇用は五九・七。ましてやアルバイトとかパートとか非正規雇用になると、もっともっと正規雇用になる確率は低いんですね。
なぜこんなことが起きてくるかという一つに、労働契約法の第十六条の規定が余りにも曖昧で、裁判になってみなければ、これを解雇していいのかどうかというのがはっきりしないから、雇用を控えちゃうんですね。雇用を控えちゃう。だから、雇用が生まれない、非正規でいっちゃう、こういうことも一面多いわけです。
この雇用ルールが明確化されれば雇用がふえるかどうかについては、幾つか国際的な中でも議論が分かれています。それは関係ないんだよという機関もあれば、OECDのように、これは雇用ルールをはっきりさせれば雇用はふえるんだということを、関連性があると言っているところもあるんですね。どちらかわかりませんけれども、これを実験しようというのが国家戦略特区じゃないですか。
そうしたら、やはり雇用特区についてもきちっと要望どおりやってほしいんですけれども、今回の中身は、今までの判例を集めて雇用ガイドラインをつくる、それをそれぞれの特区のセンターで、この契約、新しく企業が人を雇う場合、それは、新しいといっても、今までの企業じゃなくて、新しく海外から来た企業とか、または新規に入ってくる企業、そういった企業のみですけれども、そういった企業が人を雇うときに、この契約で大丈夫かと聞きに行くわけですね、ここに。そして、大丈夫だよということを指導するわけです。
それでは、その場合、雇用ガイドラインというものに沿って指導して、その契約を結んだ。結んだけれども、後で何かトラブルがあって解雇せざるを得なくなった。そのときに、今度、雇用をされた方が、いや、これはおかしいじゃないかといって裁判所に訴えたときに、この雇用ガイドラインが何らかの法的効果を持つんですか。ガイドラインに従ったからこの契約は有効で正しいんだというふうに裁判所がちゃんと判例を出すのか。
つまり、この雇用ガイドラインが法的効果を持つのかどうか、単なる参考なのかどうか、ここを
ちょっとお聞きしておきたいと思います。
○甘利国務大臣
相談センターという呼び名になるかどうかはまだわかりませんけれども、相談しやすい場所をつくります。そこは、ある種、ガイドラインといいますか、裁判事例を精査して、これならばこういうガイドラインの方向に沿っているのではないかというアドバイスを与えます。
あくまでも、これはお墨つきを与えるわけではありません。何か法的機関として、これならばいいですという判こを押して、それが裁判の対抗要件になるというわけではありません。あくまでも、裁判は裁判として、それぞれ労働者に権利があるわけでありますから、その際に、裁判所が自分たちが出した判例の集大成、それをわかりやすくまとめているものでありますから、当然、自分たちが出したものについて、それに沿ったという認識はあると思いますけれども、それ自身があるからといって、裁判の対抗要件としての法的な根拠になるというわけではないと思います。
○山田(宏)委員
そんなガイドラインであれば、やはり一応は参考にするけれども、それは今までと余り変わらないですよ、判例を見れば済むんだから。契約を結ぶときには、判例集を見て、一体どういう判例が出ているのかというのを法務部か何かが調べて、そして契約書をつくっていくわけでしょう。それと何ら変わらないことをやろうなんて、これは特区でも何でもないじゃないですか。どこが違うんですか。
○新藤国務大臣
特区において、この特区の性格、それから特区の与えられた目的、そういったものも加味して、その雇用計画が望ましいものであるかどうか、こういう検討もなされると思います。今までと変わりないじゃないかと言いますけれども、今までなかったんです。
ですから、今度は、相談センターを設置して、ガイドラインをつくって、その中でいわゆる予見可能性を高めるという意味においては随分進歩したというふうに思いますし、私は、それに加えて、国家戦略特区においてこういう目的で仕事が進んでいく、だからこういう雇用が必要だ、また、これは雇用が可能であるというようなことをきちっと事前にわかるということは、それが雇用の促進につながっていくと期待をしています。
○山田(宏)委員
今までよりは前進だけれども、これは別に特区でやらなくたって、全国でやったらいいじゃないですか。
何で全国でできないんですか。
○新藤国務大臣
雇用については、これは生存権にかかわることであります。ですから、我々は特区でやろうとして、すごい調整をしました、意見交換しました。結果として、これは全国展開を視野に入れてやろうと。これも大きな前進です。
ですから、当然のように、全国的にできるようにした方がいいんです。でも、まず先駆的に特区でやってみよう、こういう段階を踏んでいるということでございます。
○山田(宏)委員
特区というほどじゃないですよ、これは。全国でも幾つかのところを定めて、やりたいというところにやってもらえばいいじゃないですか。何もそんな仰々しく、雇用特区なんというものに、これは看板に偽りありとは言わないまでも、全く、言っている割には、何かしょぼいなと。
何とかならないですか、これは。最初ですよ、最初。
○新藤国務大臣
ぜひ、こういう議論が重要だと思うんです。
委員も、これは共有してもらいたいんです。
私たち日本人は、結局縦割りになっていっちゃうんですよ。雇用特区といったら、雇用のことだけ考えると思っているんです。そうじゃないんですよ。国家戦略特区なんですから、まず、最も経済活動がしやすい地域をつくる。そこには日本の企業も新しい展開ができる。外国の企業も入ってくる。そのときに、それではどういう働き方ができますか。それから、外国の企業が入ってきたら、社員の家族が来ます。家族の皆さんが買い物や教育や医療が安心して受けられるような状態をつくれば、これは外国から日本に来る引き金にもなりますよ。ですから、いろいろなものを加味して、総合的に、複合的に、国の力を高めていこうじゃないかと考えてもらいたいんです。
何か一つ題材があると、これはここでやるのか、医療はここだけと。違うんです。どんなことだって、それぞれの特区ではテーマをつくって、コンセプトというのは絞り込んだものがあります。でも、いろいろなものを複合的に使いやすくして、国の全体の総合力でもって魅力づけをしていこう、このように御理解をいただきたいんです。
○山田(宏)委員
やはり羊頭狗肉ですね。この部分は、私、総理が一番頑張ってほしい部分なんですよ。
いろいろな組合とか業界団体、いろいろなところが反対しますよ。そういった中で、ここの突破口を本当に開けるかどうか。海外の企業も、日本の企業も、本当に、明確な雇用ルールのもとでしっかりビジネスができるかどうか。
最もビジネスのしやすい国をつくるというんだから、全然進歩じゃないと言っていませんよ。もちろんですよ。もちろんだけれども、特区という割にはがっかりというところですね、申しわけないけれども。
総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣
この国家戦略特区は、今までの特区とは違って、いわば国が主体的に、国のあるべき姿、戦略的に、今、委員が御指摘をされたように、しっかりと日本は稼がなければいけません。そして、世界から企業が入ってくれば、人も物も金も入ってくる。これによって活力を得て、しっかりと成長していく。
その、いわば引っ張っていく都市となるべき地域を国が戦略特区として定めて、企業が活動しやすい、そういう中で、そのコンセプトにおいて、海外から企業がやってきて、そこにはたくさんの海外からやってくる社員もいるわけでありまして、病気になったときには英語が話せるお医者さんや看護師さんたちが要る。それにも応えていこうということでありますし、予見性という中において、この雇用のルールがどうなっているのかということについて、しっかりと前もって定めていく。
これは、私は、尊敬する山田委員とは見解の相違なんですが、大きな進歩だというふうに思っておりますが、これで終わりだとは思っていません。これからこの法律を御審議いただき、この法律を成立させていただければ、それを実行していく中において新たな課題が生まれてくるというふうにも考えておりまして、我々の規制改革、改革には終わりがない、このように思っておりますので、そこにおいてさらなる問題が出てくれば、その課題に果敢に挑戦していきたい、このように考えております。
○山田(宏)委員
もう一つ、もう時間が大分迫ってきたので、農業。
これも、読んでみて、何か、要するに、書いてあることは、農家がお金を借りる場合は信用保証協会も保証しますよ、こういったことを商工業者だけじゃなくてやりますよ。また、農家が農業レストランをつくるときは、それは農地であっても認めますよと。これが何か経済の突破口になるのかと思うと、農業こそやはりこれから、TPPもあって、強めなきゃいけないと思います。
農業の最も大きな規制は減反制度ですよ。これがガンです。減反、つまり、高い米価を維持するために生産調整をして、つくらないでください、つくらないならば補助金を出しますよといって消費者に高いお米を買わせ、そしてまたそういう補助金を出しているということが日本の農業をだめにしたわけです。そういう減反政策に踏み込まないということは、これはやはり画竜点睛を欠くんじゃないか、こういうふうに思っております。
今回は無理であっても、必ずこの問題については触れてもらわなきゃいけない。なぜならば、政府は、今回、農地の集合に当たって、農地集積バンクというのを設立して集積していこう、こういうことですね。しかし、これは一方で、減反制度があれば農地の集積というのは、何も出さなくてもいいわけですから、進まないんじゃないですか。
だから、要は、減反政策を転換しなければ農地の集積バンクの集積しか進まないと考えているんですけれども、今後、減反政策について検討していく予定はありますか。
○林国務大臣
この問題につきましては、前国会でも随分議論をさせていただきまして、いろいろなシミュレーションをやっていく中で、これを全部外してしまってどうなるのかというような検討もしてきたところでありますが、一方で、我々、選挙の公約で、経営所得安定制度それから多面的機能と、二つのものを出していく、こういうことになりましたので、今おっしゃった、目標に応じて補助金を出していくというところは、実は経営所得安定制度の見直しにもかかわってくるところでございますので、そこでの関連が出てくるものというふうにも考えております。
それから、先ほどの特区ですが、二つの項目をこの間発表させていただきましたけれども、そのときに、もう二つ、実は早急に検討するということになっておりました。この間の発表には間に合いませんでしたが、信用保証とそれから農家レストランに加えて、農業委員会と市町村の事務分担。市町村が合意をした場合は市町村の方で農地転用できるようにするという御要望。それから、農業生産法人の六次産業化推進等のための要件緩和。これは生産法人の要件緩和ということですが、これについてもやる方向で検討するということで、四つのうち四つやる、こういうことで今やっておりますので、そのことも申し上げておきたいと思います。
○山田(宏)委員
ありがとうございました。
終わります。